ただ、番付入りした50人のうち半数以上が、前回の番付作成時から1年の間に資産を減らしていた。反対に財力を増した富豪は、16人にとどまっている。番付の50位の資産額は、前回の9億6500万ドルから9億8000万ドルへの増加となった。
上位3人の顔ぶれは変わらず
最新の番付の首位は今回も、複数の衣料品ブランドを傘下に持つファーストリテイリングの会長兼社長、柳井正だった。柳井の保有資産は、前年より約26億ドル多いおよそ380億ドル(約5兆9200億円)と推定される。続く2位には、ソフトバンクグループの創業者、孫正義が返り咲いた。ドル建てでみた保有資産は、前年より約61億ドル多い推定270億ドル。今回の番付に入った富豪の中で、最も大きく資産を増やした。
3位はファクトリー・オートメーション用センサなどを手掛けるキーエンスの創業者、前回2位の滝崎武光。保有資産はおよそ216億ドルで、ドル建ての資産額の減少幅は50人の中で最も大きく、約16億ドルのマイナスとなった。
4位は、サントリーホールディングスを率いる佐治信忠とその家族。5位は、半導体製造装置などを手掛けるDisco(ディスコ)の関家一家だった。
ディスコの創業者一族の保有資産は推定74億ドルで、前年比での増加率は、番付に入った富豪の中で最も高い150%だった。日本が半導体産業の復活に向けて野心的な取り組みを進めるなか、ディスコの株価はここ1年ほどの間に、およそ3倍に急騰している。
「新顔」5人の最年少は33歳
今回、初めて番付に名前を連ねたビリオネアは5人。そのうち最も順位が高かったのは、祖父の島野庄三郎が100年以上前に創業した自転車部品メーカー、シマノを受け継いだ現会長兼CEOの島野容三(20位、約24億ドル)だった。そのほかの4人は、以下のとおり。永田久男(32位、約14億5000万ドル)──他社に先駆け、小売にAI技術を導入する取り組みを推進してきたディスカウントストア・チェーン、トライアルを運営するトライアル・ホールディングス会長
佐上峻作(41位、約11億5000万ドル)──AIを駆使した中小企業の合併・買収(M&A)を仲介するM&A総合研究所の創業者。33歳の佐上は、今回の番付に入った最年少の富豪でもある
宇野康秀(43位、約11億3000万ドル)──決済サービスやストリーミング配信などの事業を展開するU-Nextホールディングス社長
粟田貴也(49位、約10億ドル)──国内最大規模のうどんチェーン、丸亀製麺を運営するトリドール・ホールディングス創業者