米調査会社サカーナ(旧NPD)のゲーム業界アナリスト、マット・ピスカテラによると、同作の売れ行きは発売から3週間たった今も伸び続け「正真正銘の逆崩壊曲線」になっているという。
いかにもアナリストらしい表現だが、要は通常のゲームの売れ方をめぐる法則に逆らっているということだ。多くのゲームの販売ペースは、発売直後にピークを迎えた後、徐々に落ち込んでいく。しかし、『HELLDIVERS 2』は発売直後に大きな売り上げを記録した後も、販売ペースがさらに上昇しているのだ。販売ペースの曲線は今も、まるでアニメ「ワイリー・コヨーテとロード・ランナー」で崖から飛び出してしまったワイリーのように、宙に浮いたままだ。最終的には落ち込むかもしれないが、そうだとしてもゆっくりと地上に着地するような形になるだろう。
これは少なくとも、PCゲームプラットフォームのSteam(スチーム)などで公開されているプレイヤー数ともある程度一致する。Steamでの『HELLDIVERS 2』の同時接続プレイヤー数は、2月24日の45万8208人が最高記録となっているが、先週末の時点でも44万473人に達していた。今後、最高記録を更新することはないかもしれないが、同作のプレイヤー維持率がとんでもなく高いことは確かだ。たとえ古参兵たちが「力尽き」ようとも、常に新兵が投入される状態となっており、プレイヤー数はピーク時から4%しか減少していない。
私は少し前、『Palworld / パルワールド』のプレイヤー数がピーク時から2週間で3分の1に減ったとの記事を執筆し、一部の怒りを買った。ただ、『パルワールド』は同時接続プレイヤー数がSteam史上2位の記録を打ち立てており、今でも広くプレイされていることを考えると、プレイヤーがピーク時から大幅に減っても問題はないし、むしろ良い状況だ。一方の『HELLDIVERS 2』は、これとは対照的だ。同作は長期的なプレイにより大きな焦点を当てており、『パルワールド』とは違って、戦場が常に変化する。どちらも今年の大きなサプライズヒットとなったが、『HELLDIVERS 2』はピーク時の『パルワールド』には及ばないにしても、発売以来、プレイヤーの心をしっかりとつかんでおり、売り上げが時間とともに伸びている。
また『HELLDIVERS 2』は、メカなどの多くの新要素を導入する大型コンテンツの追加を待たずに、これほどの人気を得ている。さらに、いずれは新たな敵勢力が登場する予定だ。同作は「ライブ」ゲームでありながら、ライブ要素がプレイヤーの反感を買う仕様にはなっていない。
『HELLDIVERS 2』が今の販売ペースとプレイヤー数をいつまで維持できるかはわからないが、これまでの成功ぶりは極めて珍しく、目を見張るものだ。
(forbes.com 原文)