この動きは、OpenAIの特異な企業構造を考慮に入れても衝撃的だ。OpenAIの資料によると、同社の取締役らは株式などの報酬を得ておらず、アルトマン自身も、彼が以前社長を務めていたYコンビネータが行った小規模な投資を通じて間接的に株式を保有しているのみという。
OpenAIのコーポレートガバナンスによると、取締役の主な義務は株主価値の維持ではなく「広く利益をもたらす 安全なAGI(汎用人工知能)の創造」という会社のミッションにあるとされ、利益は最優先ではないという。
OpenAIのウェブサイトは、リード・ホフマンやシヴォン・ジリス、ウィル・ハードらが会社を離れた後の7月に初めて取締役会メンバーの名前を掲載し始めた。
AIに特化したベンチャーキャピタリストらは、ホフマンの離脱後に、OpenAIの非営利の理事会が伝統的なガバナンスに欠けていると指摘していた。「彼らは、世界で最も重要な民間企業を管理すべきビジネスリーダーや経営リーダーとは言い難い」と彼らは述べていた。
この記事では、アルトマンとブロックマンの解任を決定したメンバーを紹介する。ニュースサイトThe Informationは、アルトマンは投票できなかったと報じている。ブロックマンは、X(旧ツイッター)の投稿で、取締役会が彼の知らないところで決議を行ったことを示唆した。
OpenAIはコメント要請に応じなかった。
アダム・ディアンジェロ
質問サイトQuora(クオーラ)のCEOを務めるアダム・ディアンジェロ(Adam D’Angelo)は、2018年4月にOpenAIの取締役会に加わった。その当時、彼は「安全性を考慮した汎用人工知能に向けた取り組みは重要であり、かつ過小評価されていると考え続けている」と書いていた。彼は1月のフォーブスのインタビューで、OpenAIの強みが、非営利で運営される利益が制限された事業構造にあると述べていた。「この組織が5大テクノロジー企業の1つになるようなことは起こり得ない。この会社は、根本的に異なるものであり、私が望むのは、ただ単に事業を拡大することではなく、世界のために良いことをすることだ」とディアンジェロは述べていた。