陸運局は、GMの子会社であるクルーズが「必要な条件を満たせば再び運行を認める」としているが、その具体的な内容を説明していない。米国道路交通安全局(NHTSA)は、今から1週間前に、クルーズの車両が歩行者を負傷させた2件の事故報告を調査中だと発表していた。
クルーズの広報担当者のナビデ・フォルガニは、2日にサンフランシスコで発生した同社の車両のひき逃げ事故について、陸運局が調査中であるとEメールで述べた。フォーブスは以前、この事件の被害者がロボタクシーに6メートルも引きずられたと報じていた。
カリフォルニア州公益事業委員会が8月、クルーズとその競合のウェイモがサンフランシスコで有償サービスを提供することを認める決定を下して以来、これらの車両が緊急車両の走行の妨げになったり、歩行者に怪我を負わせる事件が急増している。あるケースでは、クルーズのロボタクシーが交通事故による重症患者の搬送を妨害した。
サンフランシスコ市の監理委員会委員長でクルーズに対して批判的なアーロン・ペスキンは、フォーブスの取材に、今回の停止措置が「遅かったが、何もしないよりはましだ」と語った。
「市は以前から、クルーズの車両が本格的な運用には適していないと述べてきたが、そもそも州は台数を制限しない許可を出すべきではなかった」と彼は付け加えた。
今回の陸運局の停止措置の発表のタイミングは、以前から予定されていたサンフランシスコ郡交通局(SFCTA)の公聴会と重なった。カーネギーメロン大学で自動運転テクノロジーの研究を行うフィル・クープマン教授は、以前からクルーズのロボタクシーの安全性を疑問視しており、その公聴会で「彼らは、マラソンでたった1マイルを走っただけで、金メダルを授与された選手のようなものだ」と証言していた。
クルーズのロボタクシーは、現状でサンフランシスコとオースティン、フェニックスのみで営業中だが、サンディエゴやナッシュビルを含む少なくとも他の10都市でテストを行っている。アナリストたちは以前、自動運転業界全体が今後の10年以内に数千億ドルの収益を上げると予想していた。
「当社にとってサンフランシスコは始まりに過ぎない」と、クルーズの著名なロボット工学のエンジニアであるダヴィデ・バチェットは、2021年11月の同社のプロモーション動画で述べていた。「今後は、他の都市や海外にもサービスを拡大する用意がある。私たちのフリートの規模は巨大なものになる」と彼は語っていた。
(forbes.com 原文)