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2023.10.17 11:30

大阪アトツギ団結物語 雑多な産業をつなぐ「文化祭」の真髄

大人が本気になる場、それが大阪・八尾発のFactorISM(ファクトリズム)だ

大人が本気になる場、それが大阪・八尾発のFactorISM(ファクトリズム)だ

全国どこもかしこもコミュニティやサードプレイスの必要性などが問われ続けています。前回、コラムでもお話したように経済政策や中小企業政策でも場づくりやコミュニティづくりが盛んに行われるようになってきました。
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産業分野でもコミュニティづくりが叫ばれるワケ

特に、地域においては、コミュニティの希薄が叫ばれ、日本特有の「村社会」を前提とした様々な社会制度、制度設計が綻び始めているなんてこともよく言われています。

地域の産業に関しても同様の問題が起きています。とりわけ都市部に近い産業を見ると、福井県鯖江市のめがねや新潟県燕三条地域の洋食器といった特定の業種、業界に特化した産業構造による産業の集積というよりも、金属、化学、菓子などなど雑多にあり、特定の業界に特化せず、一社で様々な業界、業種の部品や製品のものづくりを行っています。

いい意味で言えば、産業のダイバーシティですが、悪い意味で言えば、まとまりがないとも捉えることができ、「めがねの鯖江」などまとまった産業のブランディングができないことにもつながります。

経済産業行政において、ひと昔前は、産業クラスター(経営学者マイケル・E・ポーターが提示した概念)政策といって「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関連業界に属する企業、関連機関(大学、規格団体、業界団体など)が地理的に集中し、競争しつつ同時に協力している状態をつくる」ことが政策であり、それらの群に対して補助金などの支援策を投資することが要でした。

もちろん昔は八尾の地域でも、河内木綿や歯ブラシなど一定のまとまりがあったのですが、経済の発展、地域の発展とともに、様々な産業が起こり、色々な業種、業界へと派生していった経緯があります。

例えば、友安製作所のルーツはねじの製造にあり、時代の変化でカーテンフックを製造するようになったり、木村石鹸工業はもともと歯ブラシ製造所からはじまったなんてお話もあります。

産業が多様化していくと、昔は地域の中でやっていた横受け、仲間回し(仕事を受注した企業が発注者に対する納品責任を負った上で、一部の工程を他の専門加工業者に二次発注すること)と呼ばれる地域の中で仕事を分業して一つの製品を作り上げていくという関係性がだんだん薄れてきました。また、分業制から高付加価値をめざして一社で加工工程を内製化し、一貫した製造に踏み切る企業も増えていき、産業発展とともに、地域産業に依存することなく、独立して仕事をすることが多くあります。

その結果、何が起こるか。経営者が後継者へと代替わりを繰り返す中で、地域の産業を意識しない企業が増えてきます。仕事はほとんど関東圏や名古屋から請け負うこともおこりえるし、地域への帰属意識はどんどん希薄化し、地域コミュニティの希薄化ならぬ、「地域産業のコミュニティの希薄化」が起こっていきます。

「うちと御社は、先代の時には取引があったが、今は隣の会社でも何しているかわからない」なんてこともよく耳にすることがありました。

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文=松尾泰貴

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