理系外国人留学生の人材紹介を行うオリジネーターが、日本企業で働く4人の外国出身者と座談会形式で聞き取り調査を行った。参加者は、日本で博士号を取得した25歳の中国人男性エンジニアAさん、日本の大学を卒業した25歳のインドネシア人男性エンジニアBさん、本国で大学を出て日本語学校で日本語を学んだベトナム人女性エンジニアCさん、日本で修士号を取得した28歳のタイ人女性IT専門家Dさん。企業内でのコミュニケーションにさんざん悩まされた。
まずは、和製英語の略語。「カニバリ(自社競合)チェックという和製英語を聞いたとき、英語だとカニバリゼーション(共食い)とカニバリズム(人食い)では意味がまったく違うので、どちらの意味かわからず」戸惑ったというDさん。英語がわかる人は和製英語で普通に混乱するが、さらに略されると手に負えない。
北陸地方の企業に就職したCさんは、「20ミリプラスしたほうがいいか」を上司に尋ねると「せんでいいよ」と言われ、「1000ミリでいいよ」という意味かと思ったら、「やらないでいい」という意味の方言だったと話す。方言は日本語学校では習わない。
また、「『○○んじゃない』=『○○です』の文法に混乱することがあります。『○○したら機械が動くんじゃない?』は『してはいけない』か『した方がいい』かわからなくなります」と、相手に判断を委ねるような婉曲表現に苦労したというBさん。Dさんも、「イエスなのかノーなのかはっきり言わず遠回しな言い方なので、最後まで読まなければわからない文章が多い」と指摘している。
「『貴社』は書き言葉で、『御社』は話し言葉とか、細かいルールがあって複雑」とAさんが言うように、日本特有の無駄な商習慣もコミュニケーションを阻害している。また、気を遣ってGoole翻訳でインドネシア語に翻訳して書類を送ってくれる社員がいるが、間違いが多く「元の日本語を送ってほしい」とインドネシア人のBさんが言うように、きちんと日本語を学んだ人たちは、普通の日本語なら十分に使い熟している。
つまり、日本語が難解な言語ということではなく、問題は物事をハッキリ言わない日本語文化にあるということだ。それは外国人だけではなく、当の日本人の問題でもある。ビジネスの現場では、AI導入よりも前に、こうした日本特有の回りくどい言い回しを止めましょうと決めれば、仕事の効率がかなりアップするのではないだろうか。
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