ここでは、その中からエンタープライズ・テクノロジー部門に選出された日本と東南アジアの起業家たちを紹介する。
ここ数年、テクノロジー業界で注目を集めるのが、量子コンピュータの領域だが、この分野で世界的注目を集める起業家が、2018年に量子コンピューティングソフトウェアメーカー「キュナシス(QunaSys)」を設立した大阪大学のQIQB(量子情報・量子生命)センターの御手洗光祐助教だ。
量子マシンは物理学や化学の特定の問題を解決しようとするもので、例えば、植物が光エネルギーを化学エネルギーに変える仕組みを完全に解明できるようにするという。これにより、効率的な人工光合成が可能になり、「二酸化炭素を燃料に変換できるようになるかもしれない」と御手洗は述べている。
QunaSysはこれまで、スーパーコンピュータメーカーとして知られる富士通の投資部門などから1240万ドル(約16億円)を調達している。
「量子コンピュータは今から5〜10年後には実用化される。我々の目標は、量子コンピュータを使うすべての人々のためのデファクトスタンダードなソフトウェアとライブラリになることだ」と御手洗は語る。
近い将来に実現が期待される量子コンピューターは「NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer、ノイズがある中規模量子コンピューター)」と呼ばれているが、御手洗のチームは、NISQの処理エラーを減らすための量子機械学習アルゴリズムを世界で初めて発表した。
その論文は、2018年以降に550回近く引用され、この分野のトップ1%に入っている。グーグルの量子機械学習ライブラリも、そのアルゴリズムを採用している。