TikTokは有害コンテンツで10代を標的に? 最大の特徴は最大の害でもある

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TikTok(ティックトック)が非難の的となっている。

発端は米上院を最近通過した、中国企業のアプリTikTokのデータ収集に関する法案で、政府所有の端末での使用を禁止している。

研究者たちは、TikTokがユーザーの興味や利用するチャンネルに応じて有害なコンテンツを定期的に送り込んでいることを発見した。報告書によると、TikTokは39秒ごとに有害なコンテンツを感受性の強いユーザーに送っているという。

別の報告書では、子どものことを常に気にかける親にとって、そのアルゴリズムのためにTikTokが悪夢のような存在であることが言及されている。TikTokはティーンエイジャーの心身の健康にとって有害である可能性がある。

私は少し前にTikTokのアルゴリズムについて、ユーザーが何を好むかを監視し、ユーザーが消費したいものだと思われるコンテンツを供給することにおいて、信じられないほど効率的であるという肯定的な見方を書いた。TikTokはそのアルゴリズムのおかげで成長している。

だがTikTokの最大の特徴は、最も有害なものでもある。

もしあなたが良い影響をもたらさないコンテンツを消費すれば、アルゴリズムはそうした種の動画を定期的に供給し続ける。そのコンテンツが豊かなものであるか有害なものであるかにかかわらず、できるだけ長くコンテンツを消費し続けさせようとする永遠に動くマシーンだ。

チャンネルを購読し、解説動画やコメディのような主流のコンテンツにこだわり、有害なコンテンツを見ないようにしない限り、これを回避する方法はない。TikTokの担当者はアプリを取り締まり、一部のユーザーにはコンテンツをブロックしていると主張しているが、ほとんど野放し状態だ。

それはそうと、その取り締まりは簡単ではない。TikTokには不適切なことをする未成年のユーザーがあまりにも多いという指摘もあるだろう。米タレントのジェニー・ポパックに関するある報道では性的に挑発的な動画について取り上げている。TikTokのデフォルトでは、際どい内容のクリップが最も多くのトラフィックを得る。

残念ながら、この問題を解決するのは簡単ではなさそうだ。

TikTokはデータの収集方法と有害なコンテンツを供給する傾向の両方で常に監視下に置かれることになるだろう。

YouTube(ユーチューブ)のような他のアプリやサービスから学んだように、TikTokには何百万もの価値のある動画がある一方で、不適切な動画が注目を集め、懸念を引き起こしている。役に立つハウツー動画やモチベーションを高める話、製品の宣伝、そしておもしろい短編クリップはそれほど人気を集めない。残念なことだ。

平凡なユーザーは展開をただ黙って見ているしかない。TikTokで閲覧できるものはすべてYouTubeや他のアプリでもおそらく展開されているというのが真実だろう。

不適切なコンテンツを探せば、見つかるはずだ。あらゆるアプリは、価値ある目的にも有害な目的にも使える。

イノベーションの観点からは、これにより開発者のモチベーションが下がるというデメリットがある。人気は批判を生む。

TikTokは信じられないほど人気がある。真の解決策は、日常のユーザーがもっと活発に何らかの価値のあるコンテンツを作り、またインフルエンサーが益のある動画制作で注目を集めることだ。

TikTokが正当な理由で存在することを願っている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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