テクノロジー

2022.10.16 10:30

ファストフード店の人件費を半分にする調理ロボットWingman

(c)Nala Robotics

Nala Roboticsは、チキンウィングやフライドポテトなどを調理し、味付けをして皿に盛ることができるファストフードロボット「ウィングマン(Wingman)」を発表した。

「ウィングマンは、レストランなどの外食業者の厨房の作業効率と生産性を高める最新ロボットだ。チキンウィングは、米国をはじめ世界中で人気が高く、様々なスタイルや方法で調理されている。世界的に人手不足が問題となる中、幅広い料理を調理すると同時に、消費者の高い要求に応える上で、我々のテクノロジーは重要な役割を果たす」と同社のCEOであるAjay Sunkaraは声明の中で述べた。

Nala Roboticsによると、ウィングマンは複数の異なる料理を同時に調理し、個別に味付けすることができる。また、冷凍庫やディスペンサーから食品を取り出し、揚げて味付けし、皿に盛りつけすることが可能だ。他にも、鶏肉のパン粉付けやフライドポテトの油切り、チキンウィングへの調味料のすり込みなどができる。

ウィングマンのようなロボットの導入事例は、特にファストフード店で増えている。最近では、バーガーチェーンの「ホワイト・キャッスル(White Castle)」がMiso Robotics製のハンバーガー製造ロボット「Flippy」を100店舗に設置した。将来的に、ファストフード店では従業員の数が大幅に減少し、ゼロになる可能性もある。

「ウィングマンは定置洗浄機能を搭載しているほか、AIと高性能カメラ、ビジョン・システムを用いて大量の揚げ物を調理する作業の生産性を大幅に改善しながら高品質を維持することができる」とNala Roboticsは述べている。



ウィングマンのレンタル費用は月額3000ドルで、人間の従業員より大幅に安い。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は先月、ファストフード店の時給を22ドルに引き上げる法案に署名したが、Nala Roboticsのロボットは、ファストフード店の人件費を半分に引き下げると試算できる。

「5~7年後には、新築キッチンの多くが今とは全く異なる設計に再構築されるだろう。完全自律型で厨房に人間がいない店も増えるだろう。外食産業全体が様変わりし、フランチャイズモデルが大きく変革する可能性がある」と、Miso Roboticsの共同創業者であるBuck Jordanは2020年後半に筆者に述べていた。

現実には、冷凍庫への食品の補充や、清掃、配膳、支払い管理などは今後も人間の従業員が行うことになると予想できるが、ロボット推進派は、ロボットの導入によって従業員は接客など、より価値が高く、人間の方が得意な業務に専念できるようになると主張している。

しかし、ファストフードなどの産業で多くのロボットが導入されれば、少なくとも短期的に雇用が失われることは確実だ。従業員がより価値の高い業務に従事できるようになるためには、彼らの再教育や再スキルアッププログラムが不可欠になる。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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