今回の研究では、健康な成人(18歳以上)を対象にした前向きコホート研究がいくつか集められ、レビューとメタ解析がおこなわれた。
メタ解析を実施した研究チームのメンバーは、東北大学大学院医学系研究科の門間陽樹(もんま・はるき)講師のほか、早稲田大学スポーツ科学学術院の川上諒子講師と澤田亨(さわだ・すすむ)教授、九州大学大学院医学研究院の本田貴紀(ほんだ・たかのり)助教の各氏だ。
調査内容と適格基準に見合っているとして最終的に絞り込まれたのは、米国、イングランド、スコットランド、オーストラリア、日本の研究16件で、大半は米国の研究だった。
メタ解析の結果、週30分から60分の筋力強化トレーニングに取り組むと、あらゆる原因による死亡、心血管疾患、がん、糖尿病のリスクが10~17%低下することがわかった。
ただし、ここで言うがんは、すべての種類のがんを包括したものだ。大腸がん、腎臓がん、膀胱がん、すい臓がんなど、特定のがんとの関連性は見出されなかった。
筋トレによる効果は、週およそ60分で最大になると見られる。それ以上に増やしても、効果の増大は、相対的にそれほど大きくはならなかった。
効果がより高まったのは、週30分から60分の筋肉強化トレーニングに加えて、長さに関係なく有酸素運動を行った場合だ。これにより、早死にするリスクが40%、心臓病のリスクが46%、がんによる死亡リスクが28%低下した。
筋トレをすれば寿命が延びると言われたときに、それほどの驚きはないだろう。筋肉を鍛えることは、さまざまなかたちで心身にメリットをもたらす可能性がある。