この10年で政府によるクラウドの受け入れはどう変化したのか、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でクラウドはどのように活用されているのか、カールソンに聞いた。
ワールドワイド公共部門バイスプレジデントのテレサ・カールソン(Teresa Carlson)。ハイテク分野に女性が少ないなどのダイバーシティについてもプログラムを展開している。「いつでも、誰でも、アイディアがあればクリエイター、ビルダーになれる。クラウドは変化の触媒(カタリスト)になりうる」と語る。
ここ10年で起きた「クラウド」に対する考えの変化
──AWSの公共事業を立ち上げ、現在に至ります。この10年でクラウドは大きく普及しました。
2010年に公共むけの事業部を立ち上げた当初、政府関係者にクラウドを説明してもなかなか理解してもらえませんでした。Amazonという社名から「本について話をしにきたの?」と聞かれたことも何度かあります。その度に、クラウドコンピューティングとは何かの説明から始めていました。
現在、クラウドコンピューティングについて説明する必要はなくなりました。そして、顧客はクラウドを選んでいます。私が担当する政府、学校、NPOなどでも同じで、IT、そしてITトランスフォーメーションの最初の選択肢になっています。あらゆるワークロードがクラウド上で動いています。
──政府や公共機関には様々な規制があり、保守的と言えます。クラウドの活用という点で転機はいつだったのでしょうか?
2013年初めに開始したIntelligence Community Cloudは大きな転機になりました。Intelligence Community Cloudは中央情報局(CIA)などが使うクラウドで、政府が求める保護や安全に関する規制や要件を満たした初の商用サービスとして注目を集めました。
CIAなどのインテリジェンスコミュニティは、ITのモダン化としてクラウドコンピューティングを評価・検討していました。複数のクラウド事業者を評価した結果、AWSのクラウドを使うことにしました。Intelligence Community Cloudは、政府が定める厳格な調達プロセスを経ています。
2013年の時点で、情報の機密性が極めて高いインテリジェンス機関が拡張性、信頼性、信頼性、俊敏性を得たいと思った時にクラウドが最善の方法だと判断した──これは、その後のクラウドに大きな影響を与えました。それまでクラウドへの懸念に上がっていたセキュリティに対する回答にもなりました。その後、多くの国の政府、企業が同じようにクラウドを選ぶようになりました。
──セキュリティへの懸念を払拭できたということですね。
セキュリティは政府にとって最重要課題です。それまではセキュリティが心配でクラウドを選ばなかったのに、最近はセキュリティを理由にクラウドを選ぶ例が増えています。我々はIntelligence Community Cloudはもちろん、クラウド全体で必要なセキュリティ関連の規制遵守をきちんと行っています。
同じく2013年頃から、ランサムウェアをはじめ政府や公共機関に対する攻撃が増えて、問題になりました。政府に限定されませんが、顧客が求めているのは安全な信頼できる場所に、暗号化された形でデータを保存することです。これをクラウドは実現します。