フェイスブックが企む「表情データ」の活用、特許資料で判明

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調査企業CBI Insightsはフェイスブックが新たに取得した特許資料を公開した。フェイスブックはスマホやラップトップのカメラから取得したユーザーの表情データを活用し、メッセージングやコンテンツ視聴の在り方に新たな変革をもたらそうとしている。

公開された3つの特許資料はフェイスブックが2015年11月に申請し、今年5月に受理されている。一つ目の特許は「感情データを活用したテキストメッセージの拡張(Augmenting text messages with emotion information)」と題されている。

この技術はキーボードのタイピング速度や力の加減、スマホの揺れ具合や位置情報からユーザーの感情を読み取り、テキストの表示に変化を加えるもの。感情に応じてテキストのフォントの種類やサイズを変更し、適切な絵文字を追加することも可能になっている。

2番目の特許は「感情の分析とコンテンツ配信に関わる技術(Techniques for emotion detection and content delivery)」と名づけられている。カメラから取得した表情データをもとに、フェイスブックがそれに応じたコンテンツを配信する仕組みになっている。

このシステムはフェイスブック上の広告や動画、友人の写真等のコンテンツに対するユーザーの反応を収集し、フェイスブックやコンテンツの製作者らがそのデータを有効に活用することを目的としている。ユーザーの感情に応じたコンテンツを配信することで、ユーザーのエンゲージメントをより高める効果が期待できる。

そして、最も際立った発明と呼べるのが3番目の特許の「表情分析をベースとしたダイナミックな絵文字の生成(Systems and methods for dynamically generating emojis based on image analysis of facial features)」だ。

これはユーザーの表情を読み取って、その場で適切な絵文字を生成する技術。自分の表情をそのまま絵文字として相手に送信することが可能で、オプションとして親指を立てるジェスチャーなども追加できる。

フェイスブックは他にも膨大な件数の特許を申請しているが、プライバシーの保護を考えた場合、最も論争のタネとなりそうなのがこの3つの特許と言えそうだ。

フェイスブックに限らずグーグルやアップル、アマゾンやマイクロソフトなど、あらゆるテック企業がユーザーの行動履歴の追跡を行っている中で、利用者の表情データの把握は必然の流れだ。しかし、筆者自身はこの流れに強い警戒感を抱いており、ラップトップのカメラは常にテープで塞ぎ、表情データが取得されないよう対策を講じているほどだ。

しかし、全ての選択はユーザーに任されている。表情データを活用されることを嫌う人は、フェイスブックの利用をやめてしまう選択もありだろう。また、特許が提出されたからと言って、必ずしもそれが実際のサービスに導入されるとは限らない。

フェイスブックの広報担当者は筆者に宛てたメールで「当社は実際には活用されない特許を申請することも多く、特許の存在が必ずしも将来的な計画の実行を意味する訳ではない」と述べていた。

しかし、フェイスブックがこれらの機能の導入にあたり、ユーザーの承諾を得てから実行に移すかどうかは定かではない。フェイスブックでは多くのユーザーが既に写真つきのメッセージを送信しているが、彼らは既にその写真データを活用し、表情データの解析を行っていることも考えられるのだ。

編集=上田裕資

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