2024.05.02 16:00

アナリストの見方が二分する「テスラの新型低価格車」

安井克至

一足先に改良を受けたテスラ・モデル3と今後改良されるモデルY (Shutterstock)

4月23日に行われた米EV大手テスラの第1四半期決算説明会の後、近々登場が予定されているテスラの低価格車(あるいは低価格車たち)について、人々の意見は大きく2つに分かれた。

1つは、この「間もなく登場する低価格車」が、かねてより待ち望まれている「モデル2」であるという意見。そしてもう1つは、それは待望のモデル2ではなく、また別のクルマであり、「モデル2.5」とでもいうべきものになるという意見だ。だが、1つだけ明らかなことがある。それは、否定的な報道があるにもかかわらず、いずれにせよ、何らかの新しい低価格車が準備中であるということだ。

この決算説明会の電話会見で、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、将来の低価格車について、短いながらも言及し、この「手頃な価格の」新型車は、次世代プラットフォームと現行プラットフォームの両方の面を活用したものになると述べた。そして、テスラは「新型車の発売を2024年後半か2025年はじめに早める」と語った(詳しくは、こちらの音声を参照)。

ウォール街のアナリストの中には、この発言について、マスクが「モデル2」と呼ばれている次世代の低価格車のことを改めて認めたと解釈する者もいる。ウェドブッシュ証券のマネージング・ディレクター、ダン・アイブスは、CNBCの番組で「彼らは自律走行に直行するつもりはない」と、テスラが計画しているロボタクシー(自動運転タクシー)に関して述べ、「3万ドル(約470万円)以下の低価格車モデル2が登場し、それに力を入れていく」と語った。

モデル3をデコンテント

他のアナリストたちはもっと懐疑的だ。米自動車業界情報会社エドモンズのインサイトディレクター、アイバン・ドゥルーリーは「テスラのまったく新しいモデルを期待している人たちは確かに落胆するだろうが、既存のモデルのいくつかには表面的なレベル以上の変更が加えられるだろう」と筆者にメールで語った。

ドゥルーリーは、テスラの現行の生産方式に変更を加えれば、生産されるすべての車両のコストを下げることができるが、既存のモデルを「デコンテント(コストを下げるために機能の一部を取り除くこと)」し、基本的な部分のみに集中するだけでも、より安価なモデルが実現可能になるのではないだろうかと語っている。

2万5000ドルのモデル2は「この目で見たら信じる」

自動車雑誌『オートウィーク』編集者のナタリー・ネフは、マスクのコメントを聞いた後、さらに厳しい評価をしている。「テスラは3年近くの間、手に入れやすいエントリーレベルのモデルを発売すると約束して、潜在顧客とウォール街をだましてきた。モデル2などと呼ばれているこのクルマは、誰もが憧れているこのブランドを何百万人もの手が届くものにするだけでなく、多くの新技術の実証試験基盤になるはずだった」とネフはメールで筆者に語った。
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翻訳=日下部博一

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