サイエンス

2024.04.07 12:00

30億年以上前の巨大地震の痕跡か、奇妙な岩石堆積物が南アで発見

ニュージーランド南島の東海岸にあるカイコウラの岩だらけの海岸。2016年に発生したマグニチュード7.8の地震による隆起で形成された(Getty Images)

世界最大規模の地震は、地殻構造プレートが別のプレートの下に滑り込む沈み込み帯に沿って発生する。プレート同士がくっつくと、輪ゴムが引き伸ばされるように、地殻のひずみが高まる。ひずみが蓄積され、プレートを固着させている摩擦よりも大きくなると、伸びた輪ゴムが急に戻るように、地震が起こる。このような現象は、巨大衝上断層(メガスラスト)地震として知られている。

南アフリカのバーバートン・グリーンストーン・ベルトで発見された奇妙な岩石堆積物に保存されているのは、これまでに知られている最古のメガスラスト地震の痕跡かもしれない。

バーバートン・グリーンストーン・ベルトは、世界最古級の地質構造の1つで、41億5000万~33億年前の約8億年間にわたるさまざまな時代に形成された岩石で構成されている。この間に地球の地質構造が、固定した岩石質の表面から、移動するプレートへと転換した。

グリーンストーン・ベルト(緑色岩帯)には、海底で形成または堆積した後に、より年代の若い大陸の岩石の上に地殻変動で移動した古代の岩石が含まれている。このような構造帯は通常、海底溶岩から海洋堆積物までの未撹乱の層序(地層が重なる順序)を依然として示している。だが、ビクトリア大学ウェリントン校のサイモン・ラムとニュージーランド地質核科学研究所のコーネル・デロンダの研究チームが行った今回の最新研究では、バーバートン・グリーンストーン・ベルトの非常に無秩序な岩石層を、活発な沈み込み帯に沿って堆積した結果として説明している。

研究チームによると、この無秩序な岩石層は、ニュージーランドの山岳地帯に見られる地層「グレート・マールボロ・コングロマリット」に酷似しているという。

ニュージーランドの沈み込み帯の断面図。浅海域の岩盤がより深い海域に滑り落ちる様子を説明している(Simon Lamb, CC BY-SA)

ニュージーランドの沈み込み帯の断面図。浅海域の岩盤がより深い海域に滑り落ちる様子を説明している(Simon Lamb, CC BY-SA

約2400万年前、オーストラリアとニュージーランドがある大陸プレートと、その下に潜り込んでいる太平洋プレートによって、一連のメガスラスト地震が引き起こされた。この揺れで広範囲の大陸棚が不安定になり、一部がより深い海盆に滑り落ち、岩石の堆積層を形成した。この堆積層は、浅海域の堆積物と深海の火山岩で構成され、丸くなった石から角のある岩塊までの層序が乱れている。2つの構造プレートの衝突が進む過程で、コングロマリットが最終的に隆起し、ニュージーランドの陸塊に取り込まれた。
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翻訳=河原稔

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