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2022.01.29 12:00

エンタメで上場のザクーCEOが実践 事業にGOサインを出す判断基準

THECOO CEO平良真人(撮影=曽川拓哉)

IPO(新規株式公開)した起業家たちはどのようなターニングポイントを経て、事業を成長させてきたのか。本連載「IPO起業家の 私たちが飛躍した瞬間」では、上場を手繰り寄せた「飛躍」の出来事と起業家の意思決定に迫る。

第一回目は、2021年12月22日に東証マザーズに上場したTHECOO(ザクー)のCEO平良真人。同社は14年創業、17年にアイドルやユーチューバー、俳優などと交流できるファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon(ファニコン)」の運営を開始。生配信や、チャット、EC機能が好評で、現在では2100を超えるコミュニティが存在する。

上場時に公開された21年12月期(予想)売上高は33億9200万円(前期比46.2%増)、当期純利益はマイナス1億1600万円。上場初値は6100円。1月27日の終値は、3130円。

平良に、

1. 創業前〜創業1年目
2. 創業3年まで
3. IPOまで

の3つの期間におけるターニングポイントとその際の意思決定について聞いた。


ターニングポイント1 転職活動から「事業決めず」に起業


最初に言うことではないかもしれないですが、ほかの人には参考にならないかもしれません(笑)。なぜなら、私は最初、転職をしようとしていて、実際に内定をもらっていましたし、共同創業者で取締役COOの下川弘樹とどのような事業を行うかも決めずに会社を立ち上げましたから。

最初で最大のターニングポイントは、当時在籍していたグーグルの同僚だった下川に「退職しようと思っている」と話をする機会かもしれません。下川も「僕もそう思っている」と言うので、「一緒に何かやらない?」と盛り上がったことがきっかけで約半年後に創業しました。「何をやるか」ではじまったというより、「人ありき」での起業でしたね。

下川とは家族ぐるみで仲がいいというわけではないのですが、一緒のチームで仕事をした際に、僕と正反対の性格なので「最高だ」と思ったんです。僕は、「ぼやっ」と未来が見えただけで突き進んでしまうタイプ。下川は、緻密で、自分が腹落ちしたことを完全にやり切るタイプ。

thecoo平良
撮影=曽川拓哉

僕がブルドーザーとして森や林をなぎ倒していき、下川がきれいにコンクリートを敷いて整備してくれる、そんなイメージでしょうか。

創業時は、下川が広告運用、僕が営業という前職の強みをいかして、インフルエンサーマーケティングのコンサルティング事業をはじめました。

実は、僕たちの後を追ってグーグル時代の部下が10名近くついてきてくれました。これはいまの会社のカルチャーにもつながっていますが、「コトではなく、人」に集まってきてくれた。僕も「この人たちとだったら何かなせるだろう」という直感が働きました。

──採用はどこを見る?

「言いたいことを言おう、やりたいことをやろう」というカルチャーに合うか。面接は必ず私を含めた社員6人でしますが、1人でもNOが出たら絶対に採用しない。現場で一緒に働く人たちのことを第一に考えてそのルールを適用しています。

ですが、採用しても実際に仕事を始めるとザクーの自由さに不安を抱く人がいます。
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文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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