スタートアップ

2024.05.05 14:00

水素トラックの航続距離と積載量をディーゼル並みに、米新興Verneの挑戦

木村拓哉

(C)verneh2

サンフランシスコに本拠を置くスタートアップVerne(ヴェルヌ)は、水素トラックの航続距離と運搬能力をディーゼルトラック並みにすることを目指し、より安価で軽量なタンクと燃料供給システムを開発している。同社はこの技術を商業化するため、外部の投資家から初めて多額の資金を調達した。

ヴェルヌのテクノロジーが、テスト通りに機能すれば、大型水素トラックはエミッションフリーなトラック輸送の魅力的な選択肢になるだろう。

フォーブスの『30 UNDER 30』に選出されたこともあるCEOのテッド・マクルヴィーンは、同社の累計調達額が1550万ドル(約24億5000万円)に達したことを明らかにした。今回のラウンドには、Trucks Venture CapitalやCollaborative Fund、アマゾン、ユナイテッド航空、Newlabなどが参加したが、詳細な出資額は公表されていない。ピッチブックに記載されている同社のこれまでの調達額は、米エネルギー省から得た助成金の約100万ドル(約1億5000万円)のみで、公表されたラウンドは今回が初めてだ。

ヴェルヌの社名は、フランスのSF作家ジュール・ヴェルヌに由来する。同社は、特許取得済みの水素タンクと、低圧給油システム(ローレンス・リバモア国立研究所による試験で検証済み)をトラックに搭載することで、重量を増やすことなくディーゼル車と同等の距離を走行でき、充填も給油と同じくらい速くできると考えている。ヴェルヌは、次のステップとして大手トラックメーカーとのテストを予定しているが、マクルヴィーンは社名を明らかにしなかった。

「当社の目標は、ディーゼル車と同等の積載量と800マイル(約1287キロメートル)を超える航続距離を持つ水素トラックを実現することだ。それを可能にするのは、より高密度の貯蔵タンクだ。従来のように高圧タンクを6つ搭載する代わりに、車輪の間のフレームの上に当社のタンクを2つ取り付けるだけで済む」と彼は話す。
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編集=上田裕資

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