CONTRIBUTOR

川村 雄介

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1953年、神奈川県生まれ。大和証券入社、シンジケート部長などを経て長崎大学経済学部教授に。現職は大和総研副理事長。クールジャパン機構社外取締役を兼務。政府審議会委員も多数兼任。『最新証券市場』など著書多数。

  • 30年後もノーベル賞大国であるために、禁断の劇薬「国立大学を半数に」

    おくんち祭の熱気が冷めやらぬ長崎の夜だった。諏訪神社にほど近い居酒屋では、常連客たちが臨時ニュースに顔を真っ赤にして興奮していた。「ノーベル賞たい。チョーダイのシモムラ先生がとりなさった。すごかねえ」。チョーダイとは長大(長崎大学)、シモムラ先生とはその年のノーベル化学賞に輝いた、長崎大ゆかりの下村 ...

  • 中国が失った「大国の条件」

    冷え冷えと小雨が落ちる上海の夜半である-。暗闇に紛れて三人の青年が、辺りを憚りながらひび割れた老朽ビルの地下室に参集した。湿っぽく異臭の立ち込める狭い部屋で燈火を付ける。ある青年はポケットからリード線、別の青年は帽子に忍び込ませた部品を取り出す。幼顔を残す一人が上着に隠し持ってきたのは古いスピーカー ...

  • 東京と地方、地域間格差を縮めるために必要なこと

    いづれんみかどんみよんごどだったんだべがにょうごこういっとふったひどだちがいっぱいつげでらったそんながさ……。原典には「いづれの御時にか女御更衣あまた候ひ給ひける中に」とある。源氏物語桐壷の書き出しだ。会津弁で現代訳すると冒頭のようになるという。40年来の友人、長尾修一君 ...

  • 入社試験の是非、ポイントは「試験問題の中身」にあり

    夏休みに入る頃から、地下鉄の車内では一心不乱に受験対策書を読みふける若者たちが目立ち始める。大学3年生である。業界研究の本や問題集でリュックがはち切れんばかりだ。彼の真向かいには黒スーツを着て、化粧直しをしている女子学生が二人。企業のインターンシップに向かうらしい。「センター入試みたいなものですよ」 ...

  • 日本への理解が正確で中立、中国超エリート学生たちの質問

    初夏の天津人民公園は陽がとっぷり暮れた後も暑気が残っていた。辺りでは中高年の女性たちが数十人ずつのグループをつくり、思い思いのダンスで汗を流している。広場で爆裂音を上げるゲームに興じる男たちを遠巻きに見ながら、子どもたちが歓声を上げて走り回る。表通りは高級車が鈴なりの大渋滞だ。公園内の西岸相声劇場は ...

  • 沖縄を「最悪の経済」から救う第三の道[川村雄介の飛耳長目]

    エピジェネティクスという言葉がある。内分泌学でホルモン分泌と遺伝子作用の関係について論じられる専門用語だ。先祖から受け継がれた遺伝子自体は不変でも、生後の環境条件が遺伝子の作用を変えてしまうことだという。4月下旬、すでに夏の暑さが到来した沖縄では恒例の沖縄国際映画祭が開催されていた。いたるところで、 ...

  • 危ない「爆買い」一足打法、打つべき手とは?

    雪がちらつく小寒の夜だった。古い町屋の前でふと、半世紀も前のウィスキーのテレビCMを思い浮かべた。あの画面では一人旅の白人男性が、深更、古民家と思しき宿を訪ねていた。満足に言葉も通じないが、木戸口を潜って視線を合わせた着物姿の女性は、凛として静謐なもてなしの意を表す。そして流れる、ペーソスのなかに温 ...

  • アポロ計画が金融技術を育てた? 技術革新で国家が果たす役割とは[川村雄介の飛耳長目]

    テキサスと言えばジョンソン宇宙センターを思い浮かべるのが私の世代である。1985年の早春、ダラス空港に向けてタクシーを急がせていた。ドライバーはワカメのような長髪に無精ひげの青年だった。一見ヒッピー風だが、語り口は静かで上品な東部英語を話す。「テキサスは長いの?」。私の質問に彼はウィンクした。「NA ...

  • TPPも追い風!? 日本の音楽業界を救うグローバル戦略

    1兆6,000億円余りが日本の音楽ソフトの産業規模だといわれている。小売り換算した場合の推計値だ。CDや音楽配信、テレビ・ラジオの音楽番組、ライブ・コンサート等々が思い浮かぶが、それらのなかで断トツのものがある。カラオケである。市場規模は6,000億円を超えて、音楽ソフト産業の4割近いシェアを占めて ...

  • 人口63万人のシアトルが成長した理由[川村雄介の飛耳長目]

    シアトルは世界でも有数の清澄な美しい都市である。アラスカに通じるオーロラ街道の橋を降りてユニオン湖沿いを数分走ると、ガラスを多用した瀟洒なビルが目に入る。ワシントン大学ロースクール、名称をWilliam GatesHallという。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏らが寄贈した高価な建物だ。ゲイツ氏はシア ...

  • TPPと山田長政の時代[川村雄介の飛耳長目]

    狭い長崎湾の沖合にゆるりと錨を下ろした朱印船から、次々に絢爛華麗な荷が運び出されていた。波止場で待ち構えた無数の人馬の群れが、荷駄を積んで西方の飽の浦(あくのうら)の館に向かう。彼らを見つめる群衆は、やがて上陸した蓮の花のような美貌の若い女性の姿に息をのんだ。安南(アンナン)国王阮福源の娘、王加久( ...