「産休5回」は当たり前 YouTube女性CEO、スーザン・ウォシッキーの主張

YoutubeのCEO、スーザン・ウォシッキー氏。(Photo by FilmMagic/FilmMagic)



YouTubeのCEOスーザン・ウォシッキーは、女性のためのコンピュータ・カンファレンス「Grace Hopper Celebration」で12,000人以上の女性技術者を前に、「私たちが女性のポジションを変えない限り、将来のテック業界は今のままです」と警告した。

フォーブスが選ぶ「世界で最も影響力のある女性」の9位に選ばれているウォシッキーは、創業期のグーグルのカルチャーをつくった一人だ。1999年4月にグーグルに入社した時は妊娠4ヶ月で、間もなく最初の赤ちゃんを産んだ。その後、仕事を辞めることなく、現在まで5人の子どもを産み育てながら、毎晩家族と共に夕食をとるように努めてきた。

「一生懸命働き、いい仕事をして、それでも家に帰りましょう。短期間で燃え尽きるよりも、燃え尽きないことの方が大事です。テック業界の社会的な変化に、女性が影響力を与えることができなければ、この国の将来的な競争力も危うくなります」

テクノロジー関係の仕事は、2020年までに全職種平均の3倍以上の速さで増加する見込みだが、そのうち女性の割合は26%だけだ。テック業界の男女不均衡問題は、「女性の人材供給」と「引き止め」の2つの課題を解決しなければならない。

ウォシッキーは、コンピュータサイエンスはつまらなくて女子には向いていないという誤解を解くために、幼少期からSTEM(科学、技術、エンジニアリング、数学)教育を始めるべきだと考えている。

「コンピュータサイエンスがいかに刺激的で、クリエイティブで、影響力が大きいものかを、女の子も知る必要があります」

テック業界に女性の人材が増えても、大量に辞め続けていたら男女不均衡問題は解決しない。テック業界で働く女性は、同じ業界で働く男性よりも45%以上も離職率が高い。長時間労働や徹夜作業が多いと言われているからだ。

「テック業界では長時間働くことが、仕事への真剣さや献身度を示すと思われています。家族を顧みずに働くことが礼賛されるような傾向があります」

ウォシッキーは、女性社員の産休をもっと充実させることが重要だと言う。彼女はグーグルで初めて産休を取得し、同社で5回の産休を取得した唯一の人物でもある。有給の産休があれば女性の離職率も下がる。グーグルが12〜18週間の有給出産休暇を採用したところ、妊婦の離職率が50%まで下がった。

「産休は、私の人生もキャリアも豊かにしてくれました。会社に戻れると分かっていたので、産休中も心穏やかに過ごすことができました」

テック業界の男女不均衡問題を解決するには、女性が自身のキャリア形成に積極的になる必要もある。ウォシッキーは、女性技術者たちに産休の無い(もしくは条件の悪い)会社で働いているなら、社内に協力者を見つけ、制度を変えなければならないとアドバイスした。

「自分を守り、大切にしましょう。そのことに罪悪感など抱かなくていいのです。何よりも、次世代の少女たちや、現在テック業界で働く同世代の女性たちに、女性の手で業界を変えることができるのだと見せなければなりません」

文=モイラ・フォーブス(Forbes)/ 翻訳編集=的野裕子

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