2025.07.24 11:30

「世界最強のパスポート」ランキング 低下する米国の順位、日本は2位を維持

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英コンサルティング会社ヘンリー・アンド・パートナーズはこのほど、「世界最強のパスポート」ランキングを発表した。それによると、米国のパスポート(旅券)は過去10年にわたって下降の一途をたどり、10位に後退した。

同社は2006年以降、国際航空運送協会(IATA)が提供する情報に基づき、ビザ(査証)なしで入国できる国の数によって世界各国のパスポートを格付けしている。

米国のパスポートでビザなし渡航できる国の数は、ランキング1位のシンガポールより11カ国少ない。米国人は現在、世界227カ国のうち182カ国にビザなしで渡航できるが、昨年より4カ国減った。同ランキングで、米国は1年前には8位、半年前の今年1月時点では9位、そして今回は10位と徐々に順位を下げている。11年前の2014年には、米国は英国と並んで1位に君臨していた。英国は今回、6位に後退した。ヘンリーは報告書の中で、「注目すべきは、米国が今、このランキングの20年にわたる歴史の中で初めてトップ10から脱落する瀬戸際にあることだ」と指摘した。

なぜ国によってパスポートの「強さ」が異なるのか?

国際的な移動性は、国民が海外に渡航する際に、その国のソフトパワー(訳注:軍事力や経済力ではなく、心理的に他国を味方につける力)を測る重要な指標となる。ランキング1位のパスポートを持つシンガポール国民は、193カ国にビザなしで渡航することができる。世界で2番目に強力なパスポートは日本と韓国で、それぞれ190カ国にビザなしで入国できる。182カ国にビザなしで渡航できる米国のパスポート保持者は、アイスランドやリトアニアと同等の地位にある。ヘンリーのユルグ・シュテッフェン最高経営責任者(CEO)は「パスポートはもはや単なる渡航文書ではなく、その国の外交力と国際関係を反映するものだ」と強調した。

米国が順位を下げ続けている理由

米国は相互主義の欠如によって、ランキングの順位を下げている。米国人が182カ国にビザなしで入国できる一方で、米政府がビザなしで入国を認めているのは46カ国に過ぎない。これにより、ヘンリーの開放性ランキングでは80位とかなり下位に甘んじており、イラクをかろうじて上回っている程度だ。シュテッフェンCEOは、米国が「内向きの政策」を取る中、同国は現在、海外の移住先や外国籍の取得を求める世界的な動きを先導していると指摘した。

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翻訳・編集=安藤清香

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