「スマホ決済」の利便性は、いまや生活インフラの一部となりつつある。株式会社アイリッジの調査によれば、スマホ決済の利用率は全体の93%と高く、特に若年層ではクレジットカードを上回る利用率だったことがわかった。
【調査概要】
調査名:スマホ決済に関する調査
対象:20歳~69歳の男女(②は①でスマホ決済を利用していると回答した人を対象に調査)
調査期間:①2025年1月28日~2025年1月31日 / ②2025年2月5日~2025年2月6日
調査方法:インターネットリサーチ
サンプル数:①8,802名 / ②330名

利用率の高いスマホ決済は「PayPay」で、全体の約46%が使用。20代男性と50代以上の女性という、属性の異なる層で特に支持されていたのが特徴的だ。次点の「楽天ペイ」は若年層に強く、「d払い」とあわせて、上位3サービスで90%超を占めた。

今回の調査でとりわけ注目すべきは、「スマホ決済に、どんな機能やサービスがあったらいいか」という問いに対する性別による回答の差だ。

20代男性の約半数が、スマホ決済を通じた「地域活性化」や「地元への寄付」など、地元密着型の社会貢献に関心を示した。また、「地元のスポットやお店の情報」への関心も男性の方が高く、決済の先にあるストーリーを求める傾向がうかがえる。
一方、女性は「地域独自のクーポン」「イベント参加特典」など、いますぐ使える具体的なメリットへのニーズが高かった。とくに商店街の割引や花火大会の座敷席の優待など、生活に直結するお得さが支持されている。
この結果について、筆者の個人的な見解ではあるが、単なる性別の好みの違いではなく、スマホ決済が生活の中で担う役割の違いを示しているようにも思う。男性は「お金の流れを通じた自己表現」や「社会との接点」を重視し、女性は「日常の中で確実に得られる効用」を求める傾向があるのではないか。決済というシンプルな行為の中に、異なる価値観が見えるのは興味深い。
調査全体を通じて見えてくるのは、「スマホ決済=ポイントをためるだけの手段」という時代は終わりつつあるということだ。サービス提供側は、決済の「その先」に何を設計できるか。その部分に差別化のヒントがあるようだ。



