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2014.11.06

「アイビーリーグ」の教育は本当に正しいか

illustration by Michael Kirkham / Heart




アメリカの一流企業や政府機関へ就職するうえで、名門大学を卒業していることは優位かもしれない。しかし、それだけが大学へ進学する目的であってよいのだろうか? 
今年の8月に発売された新刊でアイビーリ―グの教育を厳しく批判している新進気鋭の作家に、名門大学が抱えている問題、そして、大学へ通うことの意義について訊いた。


(中略)
彼は「すべての大学ではない」と断りながらも、その多くが、特定の問題だけを解決するスキルや分析力を中心とした思考力を学生に求める傾向にある点を危惧している。
ただ、いくら大学が「学問の場」であるからといって、指導する立場にある教員にすべての責任を転嫁するのは早計だとも話す。特に、アイビーリーグの大学やMIT、スタンフォードなどの総合大学では、教授への評価の基準が教育に影響している点を挙げる。
「教授たちは『研究』で評価されており、『指導』は正当に評価されていません。これはアメリカの大学教育の現場は誰もが認識している問題ですが、世間ではなかなかわかってもらえないのです。特に、歴史のある教育機関であるほど、そのきらいがあります」
その結果、教授たちが学生の指導に時間をかけるよりも、研究に時間を費やすようになる。講義をプロの教育者ではない「TA(教育助手)」が代わりに受け持つことも少なくない。
「現場を支えている教育助手や非常勤講師への支払いもよくはありません。契約が切れるために、学期ごとに大学を移るなど、仕事が安定しない人もいます。当然、彼らの指導にも、そして生活にも影響を来きたします。こういった問題も解決すべきでしょう」

 そして何よりも、いまこそ「大学」へ進学するということの意味を問い直すべきだとデレズウィッツは主張する。そのためにも、学生は「自立」することから始めるべきと語る。
「まず、自立した大人になることを学ばなくてはなりません。つまり、自分で決断を下せるようになることです。これは保護者にとっては、なかなか受け入れるのが難しいかもしれません。しかし、子供に親離れさせるのもまた、親の仕事です」

 自立することにより、責任感が芽生え、失敗にも向き合えるようになる。そして、自ら決断を下せるようになれば、自おのずと本当にしたい仕事が見つかるものだ。
「次に、知的な観点からいえば、学び続ける習慣をこの時期に身につけることです。元財務省長官のラリー・サマーズも『大学では学び続けることを学ぶべき』と話しています。大学で学ぶ実務的なことは、10年後には時代遅れになっているからです」
(以下略、)

フォーブス ジャパン

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