ビジネス

2014.09.30

躍進イェルプの命運を分けた「正しい出口戦略」

4月上旬の新経済サミット2014<br />で来日したストッペルマンCEO。<br />(Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images)



今年の4月に日本上陸を果たした口コミサイト「イェルプ」。しかし、かつて同社には買収される可能性もあった。
同社の共同創業者兼CEOに買収を断った背景や、スタートアップ企業の選択肢を増やすエコシステムについて訊いた。

 やっぱり、僕はこの会社を売りたくないんだな―。
2010年1月、グーグルやヤフーとの合併交渉を進めるうちに、アメリカの口コミサイト「イェルプ」の共同創業者兼CEOジェレミー・ストッペルマン(36)は、自分の本当の気持ちに気づいたという。「もちろん、グーグルの話はうれしかった。でも僕らの前には多くのチャンスがあったのも確かで、グーグルに加わるのが正しい選択には思えなかったんだ」
そこへ、ヤフーからの打診。しかも、グーグルよりも評価が高かった。ストッペルマンは、もはや交渉に意味を見出せなくなっていた。すると絶妙のタイミングで、世界的バンド「U2」のボノが経営陣に名を連ねるエレベーション・パートナーズから連絡が入った。買収交渉の噂を聞きつけ、融資を申し出たのだ。
「そこでようやく気づいたんだ。僕らは『落札』なんかされたくなかったってことにね」
そして同社と出資交渉をしている途中、アップルのスティーブ・ジョブズから一本の電話が入る。メッセージは簡潔。「グーグルには売るな」というものだった――。

 買収されることが果たして成功のしるしなのか。名だたる大企業の申し出を断ったストッペルマンはいま、日本での展開を含む26カ国への進出を果たした。
亡きスティーブ・ジョブスをはじめとした彼の華麗なる人脈が支えた、ベンチャー起業を見守り育てる生態系の全容に迫る。

フォーブス ジャパン

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