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2024.05.22 16:00

【ジョルジオ アルマーニ×谷尻 誠】時代を超越する「タイムレス エレガンス」の力 —THE RESOLUTE SPECIAL INTERVIEW—

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ジョルジオ・アルマーニが1975年に自身のブランドを創業してから、2025年で50周年を迎える。その比類なき功績とクリエイションに迫るべく、アルマーニと同様に現在第一線で活躍する各界のトップランナーに、フォーブスがインタビューを敢行。アルマーニとの共通項を探りながら、先導者の矜持を浮き彫りにするスペシャル企画。第一回はファッションにも精通する建築家の谷尻 誠に、仕事の流儀や思考術、そしてファッションについて伺った。


この半世紀を通し、ファッションだけでなくさまざまな事業を展開してきたジョルジオ・アルマーニ。劇場や美術館の建設もその一部であり、世界に先駆けて安藤忠雄に建築設計を依頼。長年知己を深めるなど、建築やインテリアデザインの分野も幅広いクリエイションの一翼を担ってきた。そんなアルマーニと共通項を見出せるのが、現在国内外で注目されている建築家、谷尻 誠である。

建築家として多種多様な物件の設計に携わりながら、宿泊施設及び店舗の企画運営や不動産業、プロダクトデザインなど幅広い事業を行う会社を次々と設立。起業家としても才能を発揮している谷尻 誠。そうした多方面に及ぶマルチな活動はアルマーニと重なるが、共通するのはそれだけではない。クリエイションに関しても共通項を見出すことができ、そのひとつがモノの構造についての捉え方である。


本質を見極め、構造を正す


かつてジョルジオ・アルマーニは、昔ながらのテーラードスーツに疑問を抱いていた。着るときちんとは見えるが、誰もが型にはまったように同じに見え、硬く窮屈で着心地がいいとはいえなかったからだ。そこでアルマーニはスーツの構造を解体。内部の肩パッドや芯地類を取り去り、しなやかなファブリックを採用することで、一人ひとりの体型へ寄り添うようにフィットする、優雅でエレガントな革新的スーツを誕生させた。そうした構造からモノを見直すプロセスを谷尻も普段から実践しているという。

「世の中のあらゆるモノの構造や仕組みは、いつか誰かが決めたものであり、いつの間にかそれを盲信する自分になってしまったに過ぎません。だから一度立ち止まり、それがいまの時代に合っているのかをあらためて考えることが大切です。みんなが良いというものも、そのまま受け入れるのではなく、どこが良いのかを考えてみる。すると、構造の意味が見えてきて、いるもの、いらないものが分かってくるのです。新しいモノをつくりたいからと未来を見詰めるよりも、このように一旦立ち止まり、現在ある既存のモノや過去を振り返り、根本から考え直すことが、自分自身の思考的なクセになっていますね」

常に新しさを求められるクリエイターは、表層的な斬新さばかりを追いがちである。だが、それは真の新しさとはいえないはずだ。未来に新しさを見出す前に、現状を構造や仕組みから見直し、その改善とともに新しさを創造していく。分野は違えども、アルマーニと谷尻はこうしてモノの本質を注意深く探ることで、真に新しい領域を切り拓いてきた。そんな本質を見極める両者の共通項は、ファッションや建築の分野でもいまや当たり前となったデジタルテクノロジーの捉え方にも見て取れる。

アナログで表現するエモーション


服をデザインする際、ジョルジオ・アルマーニは手描きのデッサンを描くこともある。そしてそのイメージに込められたこだわりと感覚は、多くのスタッフと共有され、店頭で服を手に取るカスタマーへも確実に伝わるのである。そんなデジタルでは伝わらない、人の手を介した感覚や感情のアナログ的伝達方法は、デジタルテクノロジーがおそるべきスピードで発展し、AIがあらゆるクリエイティブを一変させようとしている現在、ますます重要性を増していると、谷尻は語る。

「僕の事務所でもデジタル機器は当然活用していますが、デジタルは左脳で理解させる仕組みだと思っています。だから感触や匂い、重さといった感覚的な心地はありませんが、数値的には正しいため、伝えやすく、提案しやすい。対してアナログは右脳的で、“なんかいい”という感覚的なもの。ゆえに価値観が違う人には伝わらないのです。そのため、僕はアナログなものをデジタルに変換して提案するようにしています。世の中は、左脳で理解しようとしている部分が多いですから。
では、なぜそこまでしてアナログにこだわるのか。それは手でしか描けない線があるからです。いまの若いスタッフたちは、まずペンを持つのではなく、いきなりパソコンの画面に向かって設計を始めます。それは作業的には効率がよく、数値的に正確なのは間違いない。ですが、たとえば感覚的にフリーハンドで描いた線は、マウスでは決して描くことはできないのです。そしてその線には、“なんかいい”というエモーショナルな共感を呼ぶものがあると思う。もちろんデジタルでしか表現できないこともあるし、否定はしませんが、それだけではいつかAIに取って代わられてしまうと、若いスタッフには言い聞かせています。いずれにしろ、現在はそういった手で描くという文化が衰退しているように感じています」


普遍的な真の持続可能性


デジタルやAIといったテクノロジーの発展により、モノや情報が猛スピードで現れては消えるようになった現在。そんな時代を迎えながらも、ジョルジオ・アルマーニは群雄割拠のファッション業界で半世紀もの間ブランドを持続させてきた。それは“タイムレス エレガンス”という、サステナビリティを先取りしたともいえるスタイルをいち早く打ち出してきたことも大きい。次のような持続可能性に関する谷尻の言及にも、それは通じているのだ。

「現在はあらゆる分野でサステナビリティが求められますが、それには愛着を抱かせることが何よりも大切だと思います。どんなにデザインが良くても、愛着のわかないモノは使い続けてもらえず、結局は捨てられてしまう。しかし、愛着がわけば大事にしてもらえるし、壊れても直しながらずっと使い続けられるからです。

服も建築も、ある意味、デザインは良くて当たり前。さらに愛着を抱かせるためには、やはりエモーショナルな部分が背景になければならないでしょう。使い手の感情に訴えかける何かがあれば、大切にされ、末長く使ってもらえる。例えば各地の神社仏閣が木造なのに何百年と存続しているのは、地域に愛され、手入れされながら大切にされてきたからです。今日の建築では太陽光や緑化などがサステナブルとされていますが、そういった表層的なものよりも、モノに愛着を抱き、大切にする精神性のほうが日本人に合っているし、普遍的で効果が高いのではないでしょうか」

ジョルジオ・アルマーニが追求する“タイムレス エレガンス”というスタイル。それは流行を超越し、時を経ても色褪せないスタイルを指す。とはいえその服は、ベーシックやスタンダード、クラシックといったトレンドとは無縁のジャンルに収まることはなく、シンプルやミニマルを追求しているわけでもない。それでもなお、アルマーニの服がタイムレスな魅力を秘めるのは、着る者の感情に訴えかけてくるからだ。

洗練されたエレガントなデザイン、上質な素材を厳選し、職人技を駆使して織り上げた生地、そして人体に合わせて計算し尽くしたパターンと構造による、無類の着心地。こうした谷尻のいうエモーショナルな背景、アルマーニの情熱と職人のハンドワークが生み出すそれらが一体となった服は、着る者の心を揺さぶり、愛着を抱かせる力があるのだ。


ニュートラルであることの心地よさ


そうしたアルマーニの服に超越性を与えているもうひとつの要素が、ニュートラルカラー(中間色)を中心とした独創的な色使いである。中間的な色調は強い印象がない分、着る者の内面を投影でき、個性を表現する余白を服にもたらしてくれる。それは流行とは一線を画す、服への愛着を抱かせる要素といえるだろう。そうした中間的である種の曖昧な表現は、谷尻も常々意識しているという。

「建築の分野では“中間領域”と呼ばれるものがあり、そこにはとても日本的な感覚を感じます。その代表的なものが、昔の日本の家屋にあった内土間や縁側です。それらは靴を脱いではいないけど家には入っているという曖昧な状態で、来客をもてなすことができる。いわば外と内の中間的な空間でした。そしてちょっと腰掛けて話をするような、人との軽やかで自由な付き合い、関係性を築くことができたのです。

ですが、いまはどこも一本の線でバサッと区切られ、外と内を分けられてしまう。それが街と建物、家と地域のつながりを希薄にしている要因のひとつではないかと思うのです。それよりも中間領域があったほうが、シームレスにつながりやすいのではないか。白か黒かの二項対立ではなく、その間のグラデーションにこそ心地よさがあるのではないかと思います」

このように、クリエイションや思想に多くの共通項を見出すことができるジョルジオ・アルマーニと谷尻 誠。それはファッションと建築というジャンルを超え、クリエイターとして目指す方向が合致しているからではないだろうか。アルマーニを語る谷尻の言葉には、そんな先行者へのリスペクトが感じられるのである。

「ジョルジオ アルマーニはファッションだけではなく、ライフスタイル全般を早くから提案されてきたイメージがあります。ファッションはひとつの手段であって、本当に豊かな生活を提案するには、食やインテリア、空間など、トータルに表現しなければならないという思想が垣間見られたブランドです。

そもそも僕がなぜ建築家をやっているかというと、その発端はファッションでした。以前からファッションが大好きで服ばかり買っていた時期がありましたが、あるとき気付いたのです。外ではいい服を着て見栄を張っても、家に帰れば生活のランクを落としたような美を感じられない、ギャップのある日常は、あまりに悲しいし美しくない。それよりも生活全般にこだわり、豊かさを追求する“良き生活者”であることが、本当にお洒落でセンスのいい生き方なのではないか。そのお手本を若い頃に示してくれたのが、ジョルジオ アルマーニという存在であったのです」


ジョルジオ アルマーニ ジャパン
https://www.armani.com/

ジャケット¥418,000、パンツ¥242,200、Tシャツ¥89,100、靴¥132,000(すべてジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン☎︎03-6274-7070)

谷尻 誠

たにじりまこと/建築家、起業家。SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 代表取締役。
1974年 広島生まれ。2000年建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICE設立。2014年より吉田愛と共同主宰。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、インテリアから住宅、複合施設まで国内外合わせ多数のプロジェクトを手がける傍ら、穴吹デザイン専門学校特任講師、広島女学院大学客員教授、大阪芸術大学准教授なども勤める。近年「絶景不動産」「tecture」「社外取締役」「toha」「DAICHI」「yado」をはじめとする多分野で開業、事業と設計をブリッジさせて活動している。2023年、広島本社の移転を機に商業施設「猫屋町ビルヂング」の運営もスタートするなど事業の幅を広げている。
主な著書に『美しいノイズ』(主婦の友社)、『谷尻誠の建築的思考法』(日経アーキテクチュア)、『CHANGE-未来を変える、これからの働き方-』(エクスナレッジ)、『1000%の建築~僕は勘違いしながら生きてきた』(エクスナレッジ)、『談談妄想』(ハースト婦人画報社)。
地元の穴吹デザイン専門学校を卒業後、本兼建築設計事務所などを経て2000年にサポーズデザインオフィスを設立。2014年には同郷の建築家の吉田 愛とともに改組し、サポーズデザインオフィス株式会社を共同主宰。現在は広島と東京を拠点に多彩な事業を展開する。


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Promoted by ジョルジオ アルマーニ ジャパン | Direction by Akira Shimada(Forbes JAPAN) | Photographs by Akira Maeda | Styling by Makoto Yoshino | Hair&make by HANGEE(SIGNO) | Text by Yasuhiro Takeishi