北米

2024.04.24

グーグル、従業員さらに20人解雇 イスラエル抗議デモの解雇者は計50人超か

米ニューヨークにあるグーグルのオフィスビル外観(Here Now / Shutterstock.com)

米グーグルは、イスラエル政府・軍と結んでいるクラウドサービス契約「プロジェクト・ニンバス」に抗議する従業員が同社オフィスで行った座り込みデモを受け、新たに少なくとも20人を解雇した。米IT系ニュースサイトのザ・バージなどが報じた。

今月16日にカリフォルニア州サニーベールとニューヨークのオフィスで行われた抗議デモをめぐっては、すでに28人の従業員が解雇されている。

ザ・バージによると、デモを組織したグループで従業員の代理人も務める「No Tech for Apartheid(ノー・テック・フォー・アパルトヘイト)」の広報担当者は、今回のデモに関連して解雇された従業員は50人を超えると述べている。

この広報担当者はまた、新たに解雇された中には「デモに参加せず見ていただけ」の従業員も複数含まれていると米紙ワシントン・ポストに語り、グーグルが解雇によって「反対意見を押しつぶし、労働者の口をふさぎ、雇用者の権力を改めて振りかざそうとしている」のは明らかだと非難した。

グーグルの広報担当者はフォーブスの取材に、デモに関する調査に絡んで新たに従業員を解雇したことを認めたが、「解雇された従業員は全員、社屋内での破壊活動に関与していた個人であることに間違いない」点を「慎重かつ重ねて確認した」と強調。今回のデモに関する調査は「終了した」と述べた。

新たな解雇に先立ち、スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は社内メモで、グーグルの「活発でオープンな議論の文化を維持することは重要」だが、同社には明確な企業ポリシーと従業員に対する期待があると強調。「ここは職場だ。同僚を混乱させ、身の危険を感じさせる行動をとったり、会社を個人の見解を表明する場として利用しようと試みたり、分裂を招くような問題で争ったり政治的な議論をしたりする場所ではない」と述べていた。

ピチャイはさらに、グーグルには「世界中の全ユーザーに役立つ客観的で信頼される情報提供者たる義務」があるとし、今は混乱を脇へやり「使命を最優先に」考えるべき極めて重要な時期だと主張。「出勤したわれわれが目指すのは、世界中の情報を整理し、誰もがどこからでもアクセス可能で有用なものにすることだ。それは他のすべてに優先し、われわれはそれを反映した集中力をもって行動することを期待されている」と従業員に呼びかけた。

米国では企業や大学構内で、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルの軍事作戦に対する抗議活動が相次いでいる。ガザで数百万人が飢餓に直面し、餓死者も出ている中で、イスラエルは民間人を保護するための十分な配慮を怠り、ガザへの援助物資の搬入を妨害しているとして、援助団体や国際社会から広く非難されている。

ハマスによるイスラエル攻撃を発端とする戦闘が中東全域を巻き込んだ広範な紛争に発展する恐れがくすぶる中、イスラム恐怖症と反ユダヤ主義に絡んだ事案が世界で急増している。

グーグルがイスラエル政府・軍にクラウドコンピューティングや人工知能 (AI)のサービスを提供する「プロジェクト・ニンバス」の事業価値は、12億ドル(約1860億円)相当とされる。グーグルは米アマゾンと共同で2021年に契約を締結した。

契約の詳細は不明だが、米誌タイムは以前、イスラエル政府との事業は医療、交通、教育などの民生目的が中心であり「兵器や情報機関に関連した機密性の高い事業や軍事事業」には関与していないとのグーグルの主張を報じている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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