キャリア・教育

2024.04.26 08:00

「日本のメイクはこう!」美容で日本経済を底上げし、世界へ

田中友梨
幼いころから母や3人の姉の影響で、髪いじりやメイクなど「美しく装うこと」が好きだった。小学校の編み物クラブに入り、編み物コンテストで3年連続優勝するといった手先の器用さも見せていた。そうした経験を原点に、17歳のときに美容の道に進むことを決め、高校を中退して美容室に就職。本業の傍ら通信制の美容学校やメイク学校で学び、夜間のバイトもこなす多忙な日々を送った。

「数字で結果を出すことにしか興味がなかった」という小田切は、美容師時代には指名数と売り上げで1位を獲得。その後3年間勤務した外資系化粧品メーカーでは、伊勢丹新宿店の美容販売部員として前年比120%以上を売り上げ、売り上げ全国トップの座を1年半守ったことで「単価の女王」との呼び名がついた。このとき特にスキンケア用品の売り上げを上げたことから、ビューティ系を得意分野と認識しヘアメイクアップアーティストとして活躍していくことを決めた。

ヘアメイク業界のカリスマ・藤原美智子に師事した後15年に独立、22年3月にはマネジメント事務所「ヌウ(Nous)」を設立し代表取締役となった。「キャリアを積むなかで自分のスキルや提案、言葉でお客さんが喜んでくれることに気づき、そこに責任感ややりがいを感じるようになりました」。これがYouTubeを始動するきっかけだ。これまで“数字第一”で生きてきた小田切だったが、20年にYouTubeを本格始動すると「彼氏ができました」「結婚できました」といった反響のほか、「(死のうと思っていたけれど)死ぬのをやめました」「生きる気持ちが湧きました」という言葉をもらうなど、誰かの救いになっていると感じる場面が増えた。

「それを機に、自分のコスメブランドをもちたいとか、自分のメイクアップをもっと世の中に広めたいという気持ちがいつの間にかなくなりました。YouTubeチャンネルの登録者数や再生数といった数字も、YouTubeチームでは追い続ける必要があるけれど、個人的には気にならなくなりました。その先にもっと見たい景色ができたからです。それはメイクで社会を変えること」

そこでYouTubeでは、視聴者が“心の美しさ“をも磨けるように、明るい気持ちになれるメイクアップ提案をしたり、自身の考えや生き方に関する話を意識的にトークに織り交ぜたりしている。
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文=堤 美佳子 編集=田中友梨 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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