「日本のメイクはこう!」美容で日本経済を底上げし、世界へ

小田切ヒロ|Nous代表取締役 / ヘア&メイクアップアーティスト / ビューティーディレクター

Forbes JAPAN 2024年6月号は、世界を救う希望「NEXT100」特集。「多彩な新・起業家たち100人」にフォーカスした企画だ。地球規模から社会、地域まで様々な課題に対して、アントレプレナーシップを持ち、「自分たちのあり方」と「新手法」で挑む起業家やリーダーたち100人を「NEXT100」とした。独自のスタイルや美意識で新たな価値指標をつくりながら、多くの人とともに社会的・経済的インパクトを出している人こそ、これからの世界の希望になる。「よき未来のための、新しいクレイジーな人たち」に注目だ。 

20〜30代を中心に人気を誇るYouTuberであり、今最も「コスメが売れる」ヘア&メイクアップアーティスト、小田切ヒロ。世界中の女性をエンパワーする挑戦は、始まったばかりだ。


小田切ヒロは、ただのYouTuber/ヘア&メイクアップアーティストではない。「美容は社会を動かすベースのひとつ」ととらえ、「沈んだ日本経済を元気にしたい」と活動するアントレプレナーシップをもったクリエイターだ。

2020年8月に本格始動したYouTubeチャンネル「HIRO BEAUTY CHANNEL」は登録者数115万人を突破し、紹介したコスメは棚から消えてしまうほどの影響力をもつようになった。「#ヒロ買い」という言葉も生まれるほどである。

メイクのトレンドと景気には相関関係があるといわれている。経済的に豊かな国はメイクが濃く、停滞している国は薄くなる傾向がある。例えば日本では、1980年代のバブル期に「太い眉毛、鮮やかなブルーアイシャドウ、真っ赤な口紅」という派手でクールなメイクが流行った。しかし、景気が低迷している現在では「すっぴん風メイク」など薄くて柔らかい印象のメイクがトレンドだ。

「メイクアップで女性が華やかになり、自信に満ちあふれて内面から強くなることは、経済や文化が潤うことにつながります。その『潤ったな』っていう感覚を、私が生きている間に感じたいんです」

小田切が提案するメイクは、しっかりと発色がありエッジを利かせたものが多い。「セルフエンパワーメントメイク」「大人の幸せ顔メイク」「千金メイク」などネーミングもユニークだ。トレンドから少し逸れる提案もあるが、「明るくキラキラとした華やかなメイクを楽しんでほしい」という狙いがあってのこと。次第に小田切自身がトレンドセッターとなり、街中には小田切が提案したメイクを楽しむ女性が増えてきた。

小田切はなぜこのような野望をもつに至ったのか──。美容業界に入った動機は、「好き」というまっすぐな気持ちだけだったという。ただ、下積み時代に人一倍の努力を重ねたことでヘアメイクアップアーティストとして大きく飛躍し、視野が広がった。
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文=堤 美佳子 編集=田中友梨 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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