欧州

2024.04.18 11:30

ロシア軍の「亀戦車」が早くも進化、甲羅の上にこぶ出現 正体は…

安井克至
だが、実際のところ亀戦車には重大な欠陥がある。甲羅の支柱のせいで砲塔はほとんど回転できず、機動性も損なわれている。

それ以上に問題なのは、甲羅と本体の間に隙間がある点だ。この隙間は、熟達した操縦士ならドローンを潜り込ませられるほど開いている。

また、ジャマーのほうもたいして役に立たないかもしれない。ロシア軍の電子戦システムは必ずしもうまく機能していない。ロシアのある軍事ブロガーは、ロシア軍の新型ジャマーのひとつについて「製造品質があまりにお粗末だ」と嘆いている。アゾフ旅団が回収したT-72のジャマーも、旅団員によれば急場しのぎの手製の品で「非常に使い勝手の悪い」代物だったという。

甲羅にジャマーの山を載せた3両目の亀戦車が付近のドローンに発見されていることからも、その有効性に疑問符が付く。

亀戦車は、目立つことが危険な戦場で注目を浴びる存在にもなってしまっている。最初の亀戦車はクラスノホリウカ近郊に登場してからたった1日かそこらのうちに、ウクライナ軍のドローンチームに追跡され、ドネツク市の西に位置するペトロウシキー地区の格納庫に隠れているところを見つけられた。

その後、格納庫はウクライナ軍の砲撃を食らった。ソーシャルメディアなどを通じて世界的に有名になっていた亀戦車は、ほかの車両もろとも破壊されたようだ。

今後、亀戦車が似たような仕方で粉砕されたり、あるいはドローン対策もむなしく、まさにドローンで仕留められたりする例が続出しても、驚くには当たらない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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