アート

2024.04.19 13:15

「ありえない」を生み出し、地球・超AIと共存する

谷本 有香
2024年3月23日、24日の二日間、この「ありえない」を生み出すアート思考ワークショップが東京品川ダイセルのオフィスで行われた。インストラクターとしては現代アーティストの長谷川愛氏、山口典子氏、そしてArt Thinking Networksから飯田さやかと、私、西村真里子が勤めた。テーマは『地方創生』『民主主義のこれから』『教育』『生物多様性』『あるべき自治体の姿』である。総勢30名が6チームに分かれて作品を生み出していった。最年少参加者は中学生である。

生み出された作品は現在の課題を浮き彫りにする興味深いものたちばかりだった。もちろん二日間という限られた時間の中で表現しなければならないので、既製品を使ったものが多くはなるが、キャプションを含めると十分にメッセージが伝わる作品になっていると考える(そもそもマルセル・デュシャン以降、既製品もアートのマテリアルとして使われているので、アートの本流でも受け入れられる話だろう)。

さて、どのような作品が生み出されたのか? 奈良市役所職員が参加するチームが生み出したものは、ワークショップ途中で拾ってきた紹興酒の空きツボをもとに作り上げている。紹興酒の空きツボを選挙立候補者と見立て、ネクタイを締めることにより、政治家を表しているのだが、実はツボの中から聞こえてくる選挙メッセージは自分の私利私欲を暴露していると言うもの。地域活性のためのステークホルダーの一人である政治家が「地域全体ではなく、自分に利益をもたらす特定の団体や一部の地域のため」に動いていることが多いことをメッセージとして伝えている。『地方創生』をテーマにしたチームは「そもそも『地方創生』と言う言葉自体が、地域を下に見ている言葉であり(都市からみた”地方”)、『地方創生』と言う言葉自体を変えていくべき」を課題に、来場者参加型で『地方創生』に変わる言葉を集めていた。また、地方創生を金儲けのツールとしてしか見てない人も存在することを生成AIで作ったお札をモチーフに表していた。

作品に耳を傾ける鑑賞者(東京大学左右田智美)

作品に耳を傾ける鑑賞者(東京大学左右田智美)

(c)NCL

(c)NCL

どのチームも、自治体職員や、地域活動に関わる方々が関与しており全て自分ゴト化された作品たちだ。二日間という短い期間であったが、彼らはこのワークショップをどのように受け取ったのか? インストラクターを務めた長谷川愛氏も含めてワークショップ開催後にインタビューを敢行した。

インタビュー相手:
・奈良市役所 平山裕也
・奄美大島在住 一般社団法人E'more秋名 村上裕希
・サステナブルイノベーションラボ / paramita 代表 林篤志
・paramita 髙瀬俊明
・paramita 河合恵里
・アーティスト 長谷川愛 (敬称略)
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