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2024.04.18 10:30

中国のレアアース支配に対するオーストラリア鉱山王の挑戦

安井克至
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だがラインハートは、その収入の大半を生み出し300億ドルの財産の基盤となっている鉄鉱石事業を補完する大規模なレアアース事業を構築しようと考えているため、交渉が再開される可能性がある。

ラインハートの拡大していくレアアース事業に関する計画は明らかにされていないが、電気自動車(EV)に使用される最高クラスの永久磁石の製造や、ロケットの誘導システムに不可欠な金属を生産または探査している4社に出資していることは重要だ。

ライナスとMPマテリアルズへの出資に加え、ラインハートはオーストラリア北部準州でノーランズプロジェクトの開発を計画しているアラフラ・レア・アースの10%、ブラジルのレアアース企業の5.8%を保有している。

さらに重要なのは、ライナスとMPマテリアルズの両社が米テキサス州でレアアース処理施設を建設しており、これらの工場は中国製の完成品をレアアースサプライチェーンから排除するようにデザインされていることだ。

ライナスとMPマテリアルズの両社は、中国によるおそらく意図的な過剰生産による価格引き下げによって、生き残りのための苦汁を飲まされてきた。

2つの救済

MPは2018年に倒産の危機から救われた。またライナスは2017年、中国からの重要金属供給への過度の依存を懸念していた日本政府と密接な関係にある企業から資金を注入されて救われた。

オーストラリアの経済紙によると、ラインハートはライナスのアマンダ・ラカーズ最高経営責任者(CEO)と「良好な関係」にあるとされる。

西側諸国の2大レアアース鉱山会社の株式を大量に保有し、2社の探査会社にも出資しているラインハートは、今月初めにフォーブスで示唆した鉱山会社の合併を仕かけるのに好都合な立場にある。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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