事業継承

2024.04.21 12:00

M&Aやサーチファンドも登場。新しい事業承継100社(前編)

Forbes JAPAN編集部

能作 新規事業|産業観光 

代表者|能作千春 設立年|1967年
老舗鋳物メーカー創業家5代目の千春氏は、アパレル通販誌の編集職を経て2011年に入社し、23年3月より現職。手で曲げて変形できる器など現代のライフスタイルに合った新ブランド構築のほか、産業観光をテーマにした工場見学や製作体験、カフェ運営、結婚10周年を祝う「錫婚式」事業などに挑戦し、売り上げを拡大した。

木村石鹸工業 EC|ブランディング 

代表者|木村祥一郎 設立年|1976年
せっけん・洗剤の老舗メーカー。2013年に長男である祥一郎氏が家業に戻り、16年に継承。IT起業家の経験を生かして、自社ブランド商品の開発とEC販売に注力。純せっけんと天然素材のハウスケアシリーズ「SOMALI」やヘアケアシリーズ「12/JU-NI」がヒットし、全体の売り上げの15パーセント程度だった自社ブランド比率を40パーセントまで成長させた。

CBcloud 異業種承継|プラットフォーム 

代表者|松本隆一 設立年|2013年
現社長の前職は航空管制官。物流業界での新事業立ち上げを志した矢先、パートナーであり運送会社を営んでいた義父が急逝。義父の残した事業企画書をヒントに、2016年に配送プラットフォーム「ピックゴー」の前身となるマッチングプラットフォームをリリース。軽貨物の個人事業主4万人以上が登録するまでに成長した。

萩原珈琲 EC|組織改革 

代表者|萩原英治 設立年|1928年
創業時より受け継がれてきた自社工場での炭火焙煎にこだわったコーヒーの卸販売店4代目・英治氏は、中南米でのコーヒー修業や商社勤務を経て家業入り。BtoCへの販路拡大を狙いECサイト上での取引を強化するとともに、「自分の個性・好きを活かす経営」を打ち出し、売り上げ目標の廃止と減収増益、労働生産性の可視化に取り組んだ。

堀田カーペット EC|ブランディング 

代表者|堀田将矢 設立年|1962年
ウール素材を主原料とするウィルトンカーペット製造の希少技術を誇る同社の3代目・将矢氏は、トヨタ自動車を経て2008年に入社。低迷していた家業再生に向け、高級ホテルやブランドショップ向けの特注品のカーペット製造で培ったノウハウを生かし、BtoCのウールラグブランド「COURT(コート)」立ち上げて、ブランディングを成功させた。

開化堂 ブランディング|海外展開 

代表者|八木隆裕 設立年|2010年
創業1875年。国内最古の手づくり茶筒屋の6代目の隆裕氏は、2000年より伝統技術の習得に励む傍ら、BtoBからBtoCへと変化させ、グローバル市場へ商品を展開。ミラノサローネへの出展やヴィクトリア&アルバートミュージアムの永久展示品に選出されるなど新たな活路を見いだし、京都から伝統工芸を発信するプロジェクトなども展開する。

松尾産業 オープンイノベーション|DX 

代表者|松尾尚樹 設立年|1949年
化学品や自動車部品を中心にモノづくりに伴走してきた技術系商社。大阪に本社を置く。4代目の尚樹氏は大手総合商社を経て家業へ入り、中国駐在などを経験。部品開発におけるDX化や、国内外の隠れた技術や素材を発掘する。同社がもつ製造業へのネットワークや知見を生かし、スタートアップとのオープンイノベーションにも積極的。

GO 出島型|新規事業 

代表者|川鍋一朗 設立年|1977年
川鍋氏はGO現会長。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て家業の日本交通に入社。05年に社長、15年から会長を務めた。新規事業を複数立ち上げ、うち配車アプリが伸びた。タクシー業界で初めて交通系ICカード支払いを導入。20年にタクシーアプリ「GO」開始につなげた。23年8月にはGOの経営に注力するため、日本交通の会長職から外れた。

KAPOK JAPAN 出島型|ブランディング 

代表者|深井喜翔 設立年|2020年
家業はアパレルブランドのOEMを主力とする1947年創業の双葉商事。4代目現社長が大量生産・大量廃棄というアパレル業界の課題に対し、「カポック」という木の実の綿を使った製品開発を行うサステナブルファッションブランドKAPOK KNOT を設立。素材開発から手がけ、原料の調達から消費者に届けるまで独自のサプライチェーンを構築する。

LivEQuality大家さん 出島型|社会課題解決 

代表者|岡本拓也 設立年|2022年
実父の急逝に伴い、2代目の拓也氏が工場の営繕や倉庫の新築などを手がける「千年建設」を継承。2022年にスタートアップを立ち上げ、シングルマザーを対象に居住支援サービス「LivEQuality」を提供する。同時に関連のNPO法人も設立。公認会計士やソーシャルセクターの経歴と、継承した家業の強みを生かして社会課題の解決を目指す。
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この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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