アート

2024.04.10 14:15

「ついに2026年落成」のサグラダ・ファミリア─ 驚嘆の構造美をひもとく

石井節子
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その結果、ガウディは、特にラシージャと呼ばれる石や石積みのような利用可能な材料や地方の建築様式に照らして、文脈の中で、より具体的にこれらのフォームや形状に焦点を当て始めた。彼はさらに、カタルーニャ地方では、スリムなレンガは最も大きな面だけが見えるように敷き詰められ、しばしば1層か2層の厚さの表面を形成し、床、間仕切り、壁、またヴォールト(空間内でゆがんだ表面で、カタルーニャ語ではvoltes de maó de plaと呼ばれる)に使われることに気づいた。

「立方体、球体、プリズムをハイパーボロイド、ヘリコイド、コノイドに置き換え、花、水、岩などの自然の特徴で飾ることで、現在の幾何学を変えた。彼は幾何学という建築の基本を変え、芸術のあり方を完全に変えたのだ」

このような形は、サグラダ・ファミリアの内部、コロニア・グエルのエントランス、カサ・ミラの最上階など、彼の作品の至るところで見ることができる。多くの作品の中でも、これらの作品はこれまで見られなかったものであることを忘れてはならない。溶岩や溶けた生地を思わせる彫刻のような建築は、自然界とその複雑さを表している。

このような建築を構想し、建設するために、ガウディは「近代的な建築の発明、鉄筋コンクリート、巨大な鉄骨構造などの新素材さえ利用することはなかった。これらの新素材を使えば、新しい形が制作可能なのはある程度想像がつくだろうが、昔ながらの技術で新しいものを生み出すというのは、まさに天才としか言いようがない」。

ガウディには物事を正しく把握する力があり、自らの技術を細部まで理解していた。 「彼の放物線と超ボロイドは、巨大な傾斜柱、丸天井、および他の構造を決める際に重要な要素となった。より絶対的な安定と細く美しい印象の両方を同時に実現させるために、ガウディは、2つのヘリコイド柱によって形成された二重ねじれとしてすべての分岐柱を設計した。彼は、1対1/2、1対2/3、1対3/4...などのように、最大寸法の12分の1に基づく単純な比率を繰り返し使用し、寺院のあらゆる部分の幅、長さ、高さの比率を提供している。例えば、神殿の全長(90メートル)を12で割ると、7.5メートルとなる」。
サグラダ・ファミリアに隣接する学校。© Pep Daude, Blog Sagrada Familia

サグラダ・ファミリアに隣接する学校。© Pep Daude, Blog Sagrada Familia

だが、ガウディの作品は、その美しく多彩な装飾がなければ、これほど多くの人々を魅了することはなかっただろう。しかし、ガウディ自身は、同じように自然からのインスピレーションを凝らした装飾的な要素は、構造的なものに付随するものであり、従属するものであると考えていた。

実際にサグラダ・ファミリアが体現している通り、ゴシック聖堂を改造するという彼の全アイデアは、その豊かな自然の装飾がなければ全く違った捉え方をされたかもしれない。しかし、構造的な部分と装飾的な部分のどちらにガウディが重きを置いたにせよ、ガウディの作品は、この2つを区別のつかない1つにする傾向がある。

「ガウディ・オール・ガウディ」と名付けられたオンライン・ブログの中で、そのブログの筆者は次のように書いている。「当時最も簡単な仕上げ材であったローマ煉瓦を巧みに用いたカタルーニャの丸天井にガウディは衝撃を受けた。そしてその影響を受けたガウディの平面における完全な熟度と母線の知識は、適切な軸に沿ったセラミックタイルの配置を可能にしてしまった。こうしてセラミックの色と、目地の開口部の緑色と金色のガラスとが相まり、彼は大聖堂で見たこともないような花のようなヴォールトを実現したのである」。

そして、ローはさらにこう締めくくる。

「その有機的な形や模様は、構造的な可能性だけでなく、無数の装飾的な特徴をもたらした。その意味で、技術者であれ、通行人であれ、建築家であれ、芸術家であれ、ガウディの作品は、解明し、解き明かすべき要素に満ちている。ますます都市化する世界においてもその価値を持つ、洗練された自然界の鏡だ。サグラダ・ファミリアを最初に見るのに、何の準備もいらない。グランドキャニオンを目前にした時に近しい畏怖と驚愕、それだけだ」

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