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2024.04.17

グランプリ発表の瞬間、審査員ももらい泣き。それぞれの受賞企業が見せた、これからの可能性

2023年11月、「スモール・ジャイアンツ アワード2023-2024」が開催され、その様子がオンライン配信された。『Forbes JAPAN 2024年4月号』に登場したファイナリスト7社は、どのようにして選出されたのか。


規模は小さくても大きな価値をもつ企業を発掘、表彰する「スモール・ジャイアンツ アワード」も、今回で7回目を数える。昨年11月に行われたグランプリを決めるピッチイベントには、ファイナリスト7社の代表が集結。その白熱した様子は、ライブ配信を通じて伝えられた。

アワードの対象となるのは、創業10年以上、売り上げ100億円未満、社員数500人以下の条件を満たす企業だ。編集部による独自のリサーチに加えて、公平で幅広い情報を得るために、中小企業にネットワークをもつ10社にアドバイザリーボードを依頼。さらに今年は協定連携パートナーの自治体や団体にも推薦の協力を依頼した。そうして集まった約120の候補企業をもとに、さらにヒヤリングや調査を重ね、審査員と編集部による審査を経て選出されたのが、今号に登場するファイナリスト7社だ。

アワードイベントの当日、ライブ配信の会場は、全国各地から駆けつけた応援団たちのすごい熱気に包まれていた。プレゼンテーションは各企業5分ずつだったが、それぞれが会社のユニークなポイントをわかりやすく説明し、印象的な方法で審査員にアピールしていた。

最初に登壇した伊藤農園は、規格外品のみかんを100%ピュアジュースとしてヒット商品に転換。オリジナルの搾汁機も開発し、皮まで絞らない製法にこだわっている。そのジュースが配られると、審査員が「おいしい!」と飲み干す場面もあった。また、今回初めて沖縄からのファイナリストとなったコーカスの緒方教介社長は、半袖・短パンで登場。「沖縄の風」を感じさせる沖縄産のシークヮーサーを使った首里石鹸ブランドの石鹸の泡で満たした容器を持ち込み、その香りに乗せて、同社ならではの取り組みをうまく伝えていた。

プレゼンテーションの後は、「ファイナリスト7社をもっと深掘りして中小企業の勝ち筋を考えよう」などのコーナーが進行。「他社には絶対に負けない強みが3つ以上ある」「はっきり言って、うちがグランプリだ」などの質問に各社の代表が「◯」か「×」のふだをあげる方式で盛り上がった。


グランプリはアムコンに

そんなステージと同時に別室で行われていた審査会も白熱。その結果、今年のグランプリは、自社の汚泥脱水機を77カ国に納入するアムコンに輝いた。

グランプリが発表された瞬間、相澤学社長は感極まった表情に。聞けば、過去のスモール・ジャイアンツ特集号を全て読み返し、プレゼン中のハプニングまで想定したシナリオをいくつも準備。何度も練習を重ねたという。アワード当日は、社員らがオフィスに集まり、配信をリアルタイムで応援視聴してくれていたそうだ。

アムコンの相澤学社長

アムコンの相澤学社長

そんな相澤は、「社長就任の前は海外営業をしていたが、日本企業が国際競争で勝ち抜くことの大変さを肌身で感じている。常に日本を代表するような気持ちで仕事に向き合ってきた。会社のみんなが同じ方向を向いて協力してきたことが認められて嬉しい。期待に応えられる会社になる」とコメント。

審査員を務めたスノーピークの山井太は、「素晴らしい製品で社会の役に立っている。若い相澤社長がこれからよりグローバルで活躍してほしいという思いを込めた」とグランプリに決定した理由を語り、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春も「大手にはないニーズのとらえ方と、画期的な技術で世界のいろいろな現場を支えていることが素晴らしい」と称賛した。

小さいけれど世界を変える可能性を秘めた「スモール・ジャイアンツ」たちのこれからにも注目だ。

文=フォーブスジャパン編集部 写真=大星直輝

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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