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2024.04.22 13:30

稲盛和夫も太鼓判! 廃食用油再生「レボインターナショナル」の逆転劇

Forbes JAPAN編集部
国内レースでは自らハンドルを握り、2007年片山右京氏をドライバーに迎えて挑んだ、世界一過酷といわれるダカール・ラリーで完走。世界をあっと言わせた。1通の英語のメールが越川に届いたのは、それから間もなくのこと。
ダカール・ラリーのドライバーを務めた片山右京と越川。チーム監督は元ドライバーの松本恵二だった。

ダカール・ラリーのドライバーを務めた片山右京と越川。チーム監督は元ドライバーの松本恵二だった。

「大量に輸入したい。どれくらいの量を供給できるのか。品質はどうか」。欧州の大手燃料メジャーからの問い合わせだった。国内では普及が進まず販路を開拓できずにいた越川にとって、起死回生の注文になった。19期目にして黒字転換を果たしたレボインターナショナルは昨年10月、東京証券取引所の東京プロマーケットに上場した。

苦難の連続を乗り切った越川は「実証実績に裏打ちされた技術では、この先もどこにも負けない自身がある」と語る。
強みは原料調達から燃料化、供給まで自社一貫で行うことだ。

強みは原料調達から燃料化、供給まで自社一貫で行うことだ。

研究室にこもり、災害現場やラリーで自ら実証実験し、10年以上かけて廃食用油を安定的に、なおかつ高品質なBDFにつくり換える独自のノウハウを開発。その技術力を強みに「循環型社会を目指す」という越川への共感が国内外に広がりつつある。今年、愛知県田原市と大阪府堺市で新プラントを稼働させ、新たなプロジェクトが動き出す。廃食用油を原料にしたバイオジェット燃料「SAF」の製造に日揮HD、コスモ石油などと本格的に乗り出す。

「次の目標は、廃プラスティックや未利用の森林資源からエネルギーを生み出す事業化です。人がつくり出したゴミをすべて資源に変えるのが私たちが考えるビジネスの全体像であり、清水先生とも約束したことです」。

30年余の紆余曲折を経てようやく見えてきた循環型社会への道を「あきらめずに進み続けたい」と越川は誓う。

越川哲也◎1964年京都府生まれ。大阪工業大学短期大学部土木工学科卒。父の土木業を手伝った後、カーレーサーに憧れ、松本恵二の会社に入社。レーシングチームに90-92年にメカニック担当として参加。のちに廃食用油のBDF化研究に出合い、99年、レボインターナショナル設立。同社技術顧問を経て2003年4月から代表取締役。

文=秦 融 写真=佐々木康

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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