宇宙

2024.04.02 14:00

「黒鉛」が地球の生命誕生のカギ? 隕石からはじまった命のプロセス

木村拓哉
リマーによると、ニトリル類は、炭素原子と窒素原子が三重結合で結合したシアノ基を持つ分子だ。物質的に非常に安定であり、かつ化学反応性が高い。メタンニトリルとも呼ばれるシアン化水素(HCN)分子が5個集まると、RNAやDNAの塩基の1つであるアデニン(C5H5N5)ができる。ニトリル類は生命の構成要素となる化合物の多くを生成する反応を起こすと、リマーは続けた。

ニトリル類により、ホルムアルデヒドの生成が始まる可能性があると、リマーは指摘する。ホルムアルデヒド自体は糖ではなく、その一歩手前だと、リマーは表現する。ホルムアルデヒドは他のホルムアルデヒドを見つけることで、糖を生成できるという。

化学的多様性は「多過ぎれば逆効果」の恐れも

さまざまな環境には、何十万もの多種多様な化学物質が存在すると、リマーは指摘する。通常、ニトリル類を生成する化学反応は「ごちゃ混ぜの状態」を生み出す。すなわち何万から何百万にも及ぶ多様な分子だ。大量のニトリルとほんの一握りの他の(ほぼ非反応性の)分子しかできないような既知のシナリオは存在しないという。研究チームは、これを実行する方法を初めて発見したと、リマーは述べている。

次はどうするのか。

今回の実験は、水素や炭素や窒素が大量にある、燃焼機関のような場所を対象に行われる実験だと、リマーは説明する。次のステップは、タールを実際に加熱して、モデルが予測するように変換されるかどうかを確認する予定だと、リマーは話している。

前生物化学はやはり運次第

化学反応では、2つの分子に互いに反応させ、その他の多数の分子とは反応させないようにしたいと、リマーは話す。これは次のようなものだと想像してほしいと、リマーは続ける。52枚のトランプ1組があり、このうちの2枚を隣同士にしたいと考える。

トランプの山が4枚なら、その可能性は非常に高くなるが、100万枚の山では、可能性は非常に低いと、リマーは説明した。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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