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2024.03.22 16:45

多様性は、恐れではなく希望。国際同性結婚をした西村宏堂カップルが語る「なれそめ」

田中友梨

「これが運命か」

2人が結婚を決めるのに、そう時間はかからなかった。

「私は、出会ったときから『これが運命か』と感じていて。お互いに愛し合っていると思ったし、安心できる関係を築きたいという思いもありました」(西村)
「超多様性トークショー!なれそめ」より

その関係の先にあるのが、なぜ「結婚」という選択肢だったのか。その理由は一緒に暮らせる国が見つからなかったからだ。

「どちらかが同性婚が認められている国に住む場合、結婚相手は配偶者ビザを取得して一緒に住むことができます。コロンビアでは同性婚が認められているので、結婚を選ぶことで今後、一緒に住める国のオプションを増やせると思いました。」(西村)

コロンビアでは2016年に同性婚が認められた。フアンは、制度だけでなく、社会全体で同性愛を受け入れる雰囲気があると語る。

「コロンビアには、いろいろな人種の人たちが暮らしているので、多様な価値観が入り混じっています。そのため、いろんなことにとても寛容な国なんです。私は20歳のときに両親に(性的指向について)カミングアウトしましたが、受け入れて応援してくれる姿勢を見せてくれました」(フアン)

難航した結婚手続き

2023年2月、西村は結婚手続きのために5週間の日程を確保して、コロンビアへ向かった。

ところが、日本とコロンビア間の同性婚にはマニュアルがなく、日本の大使館や行政書士に問い合わせても、手続きに必要な書類や手順の全貌がわからない。結局帰国までに間に合わず、ようやく手続きを終えられたのは、その半年後にまたコロンビアを訪れたときだった。

「結婚には、すごく時間がかかってしまいました。手続きのマニュアルがあったら良かったのにと思いましたね」(西村)
「超多様性トークショー!なれそめ」より

フアンさんは日本での就労ビザも取得し、2023年の10月から2人は日本で一緒に暮らしている。ようやく安心して一緒に暮らせる場所が見つかり、しばらくは日本を拠点にする意向だ。

フアンは西村の家族ともグッと距離を縮め、今では義母と2人で旅行をするほどになった。また、「日本はいろいろなチャンスがあって、頑張る気持ちがあれば活躍できる場所」と考え、日本語の勉強にも励んでいる。

(コロンビアで)法的な結びつきができてから、お互いの関係にも変化があった。

「ボーイフレンドのときは自分と相手という感覚がありましたが、今は家族という感覚になりました。ここが自分の属している場所であり、帰ってくる場所だという気持ちです」(フアン)
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文=三ツ井香菜 画像提供=NHK

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