2024.03.20

自動車メーカーの「部分的自動運転システム」に欠点 米国保険協会が指摘

部分的自動運転中に居眠りするドライバーに注意喚起(Shutterstock.com)

各自動車メーカーから販売されている最近のクルマには、運転操作の一部を自動化するさまざまな先進運転支援システムが搭載されているものが多い。しかし、先日のテストで評価された14種類のこのような「部分運転自動化システム」のうち、意図的な誤った使い方や、ドライバーの長時間に渡る注意力低下を、防ぐように設計された安全対策が「許容できる」ものは、レクサス LSの2022〜24年モデルに搭載されている「Lexus Teammate[Advanced Drive]」のみだった。

他の13のシステムは、レクサスのもう1つの運転支援システムも含めて「最低限」または「悪い」という評価だった。

これらのテストは、米国道路安全保険協会(IIHS)が3月12日に発表した新しい評価プログラムにおける最初のラウンドのハイライトだ。なお、IIHSは米国の保険業者によって設立された非営利団体である。最初のテストでは、このような部分的自動運転システムの多くが、ドライバーの注意を運転から逸らさせないようにするためのセーフガードの類を備えているものの、そのほとんどが十分に強固ではなく、適切な規制機能を備えていないことが判明した。

「我々はBMW、フォード、ゼネラルモーターズ、ジェネシス、レクサス、メルセデス・ベンツ、日産、テスラ、ボルボの部分的自動運転システムを評価したが、そのほとんどに間違った使い方を防止したり、ドライバーが運転に集中できなくなるのを防ぐための十分な対策が含まれていなかった」とIIHSのデビッド・ハーキー会長は声明で語っている。

自動車業界はシステムをより安全なものにする必要があると、IIHSは述べている。

公道とサーキットで行われた一連のテストに基づくこの新しい評価プログラムは、自動車メーカー各社が部分的自動運転システムに、より強力な保護機能を組み込むことを奨励し、ドライバーを運転に集中させ、乗員や道路の利用者が危険にさらされるのを防ぐために設けられた。

14の部分的自動運転システムのうち、唯一「許容できる」という評価を得たレクサスのほか、GMCシエラと日産アリアに搭載されている2つのシステムが「最低限」評価を獲得し、残りの11には「悪い」という評価が下された。

IIHSの評価は、高い方から「good(良い)」「acceptable(許容)」「marginal(最低限)」「poor(悪い)」の4段階となっている。各車に搭載されているシステムは「総合性能」のほか「ドライバーモニタリング」「注意喚起」「緊急処置」「安全機能」、そしていくつかの「運転関与」というカテゴリーごとに評価された。

「ドライバーの中には、部分的自動運転システムによって、長距離の運転が楽になったと感じる人もいるでしょう。しかし、このようなシステムが運転をより安全にするという証拠はほとんどありません」と、ハーキーは続ける。「人々の注目を集めた多くの事故が例証しているように、このようなシステムが適切なセーフガードを欠いていれば、新たなリスクをもたらすこともあるのです」

部分的に運転を自動化するシステムを搭載した車両は「自動運転」ではない。だが、自動車メーカーは時々、自社のシステムが自動運転であるかのような印象を与える名称を使うことがあると、IIHSはいう。「人間のドライバーは依然として、多くの決まった運転操作を行い、自動化機能がどの程度きちんと作動しているかを監視し、なにか問題が発生した時にはいつでもシステムと交替して操縦を行えるようにしていなければなりません」
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翻訳=日下部博一

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