北米

2024.03.16 12:00

米大学選手ら、トランス女性の女子種目出場や女子更衣室使用めぐり提訴

安井克至
2536
国際オリンピック委員会(IOC)は選手に性別適合手術やホルモン値の変更を強いる資格要件を取り下げているが、個々のスポーツを見るとプロレベルではトランスジェンダー選手の出場を制限しているケースもある。

トーマスはNCAAの選手権で優勝した当時、ABCテレビの番組「グッド・モーニング・アメリカ」に出演し「トランス女性は女子スポーツの脅威ではありません」と訴えている。2019年に男性から女性への性別移行を開始すると筋肉量が減少し、泳ぐスピードは「とっても遅くなりました」とも明かしていた。

NCAAは「トランスジェンダーの学生アスリートのために機会を確保しつつ、競技に参加するすべての人のために公平性と包摂性、安全性のバランスを図る」という方針を掲げる。2022年1月には同年度の冬と春の選手権に関して、トランスジェンダーの選手の場合はテストステロン抑制治療を1年間受けることを資格要件とした。2024年8月以降、トランスジェンダーの選手は、テストステロン値がスポーツ選手としての基準内であることを証明する書類を年2回提出することが求められる。

米自由人権協会(ACLU)のオハイオ州支部によると、トランスジェンダーであることを公表して米国の大学スポーツ競技に参加した選手は、これまで34人にとどまっているのが実情だ。

トーマスは前出の番組で「トランスの人たちは競技のために(性別を)移行するのではありません。わたしたちは、幸せになるため、本来のあり方、本当の自分になるために移行するのです」と話している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事