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2024.03.03 10:00

ChatGPTで書いたエッセイ、米大学入試で通用しているのか?

安井克至
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ペジッチは当初、ChatGPTの登場によって自分のビジネスが打撃を受けるのではないかと懸念していたが、現実はまったく逆だった。AIブームによって、コンピュータが作成した文章を本物のように見せることに長けた編集者の需要がかつてないほど高まっているのだ。

「ChatGPTが書く文章は非常に言葉が多く、抽象的な表現が多くてまとまりがないのです」と彼女は指摘する。ペジッチは現在、AIが書いたエッセイに「人間の雰囲気」を加えるために最大100ドルを請求している(Fiverrを通じて同様のサービスを提供している他のフリーランスは、長さによって10ドルから150ドル程度を請求している)。

メキシコ在住の編集者兼翻訳者であるララ・カントスは、AIが書いた文章に頻出する単語やフレーズの用語集を作ったという。「特定の用語や文の構造が繰り返されたり、同じ形容詞が何度も使われたりするのです」と彼女は述べ「タペストリー」もその中に含まれていると指摘した。

フォーブスが話を聞いたコンサルタントは全員、AIツールは、英語が母国語でない学生が英語圏の大学を目指す場合によく利用されていると語った。一部の学生は、AIに母国語でアイデアやプロンプト(命令文)を与えて初稿を書き始めているが、文章全体をAIに頼っているケースもあるという。「先日もChatGPTで作成したエッセイで米国の大学に出願するスイスの学生からの仕事を受けたばかりです」とカントスはフォーブスの取材に話した。

AIを見破るツール

膨大な量の文章を作成可能なAIツールが猛烈なスピードで開発され続け、より優れた文章を書くことが可能になる中で、入試におけるこれらのツールの使用を検知することはより困難になっている。その一方で、学生たちは、これらのツールで何ができ、何ができないかについて、より明確な指針を求めている。そして、その限界に挑戦している。

「この問題に対処するための一貫したアプローチがあるとは思いません」と、テキサスA&M大学の入試担当者のクリス・リードは話す。
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編集=上田裕資

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