経営・戦略

2024.04.10 09:15

1個5000円「びん長まぐろの大トロだけ」 ブランドツナ缶で年商10倍へ

石井節子
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ちなみに、静岡には『あさはた蓮根』というものがある。蓮根は栽培にとても労力がかかるものだが、主役になる食材とはいい難い。それも蓮根スープにすれば解決できると考えて商品化している。おいしいのにスポットが当たりにくい野菜を積極的に活用しているというわけだ。

また、仕入れ数も重要だと、河野さんはさらに教えてくれる。量販店に卸す商品を作ろうとすると、20〜30トンの量が必要になる。しかし、モンマルシェのようにB to Cの商品なら、3トンくらいがちょうどいいのだという。
Photo:相馬ミナ

Photo:相馬ミナ

「それくらいの量を作っている農家さんって多いんですよ。たとえば、長野のバターナッツカボチャを作っている農家さんには、できた分だけ全部買い取りますと伝えています。多くできたらそれだけ商品を作ればいいし、少なくても今回はこれだけできましたとすればいい。B to Cの商品だからできることなんです」

どんな野菜も、おいしいものであればどんどんスープにしてみる。仕入れられる量であれば、買い取る方法を模索する。河野さんはそうして「野菜をMOTTO」を開発してきたというわけだ。
Photo:相馬ミナ

Photo:相馬ミナ

ただ、ここまで国産にこだわることに対して、BLACK LAVELを作った時のように、社内から懸念されたことは多かったと振り返る。卸をして販売する方が売り上げは大きいし、国産野菜に限定すればリスクもあるのだから、懸念はごく当たり前のことなのかもしれない。

「国産野菜に限定すると、安定した供給は約束できません。天候不順で不作のこともありますから。でも、売り上げを追うよりも、いいものを作りたいという思いを優先しています。スポットライトを当てることで、国産野菜を作る人が増えてくれたらうれしいし、農業が活性化すれば、日本全国の地域創生にもつながると考えています」

いいものを作って売るという、ツナ缶で確たるものにしたモンマルシェの信念を、スープにおいても貫いているということなのだろう。河野さんは、その考え方で商品を開発し続け、実際に結果も出している。

「本当にいいものを作って提案しなければ、事業として意味がない。覚悟を持って作りたいと考えてきました。結果、BLACK LAVELを作る前に比べたら、会社の年商は10倍近くに伸びたんです」と誇らしげに教えてくれる。

これからの展望を聞くと、全国の農家さんともっと繋がりを強めて活性化していきたいし、スープを欧米やアジアにも展開していきたい、と話は尽きない。

反対や懸念があっても、いい商品を開発し、作って、売る。素材を育て、加工する人も、開発する人も、売る人も、みんなが誇りに思えるものを。モンマルシェへ期待する人は、これからもっと増えていくに違いない。

モンマルシェのHPはこちら



(本記事は「読むふるさとチョイス」からの転載記事です。)

文=晴山香織 写真=相馬ミナ

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