宇宙

2024.02.27

白色矮星の近くに繁栄した「高度な地球外文明」がまだ存続している可能性

白色矮星と地球を並べて描いた想像図(ESA and NASA)

太陽系外惑星科学では、白色矮星は通常、後回しになるだけだ。系外惑星を探索している研究者の大半は、第2の地球探しが忙しすぎて、超高密度の恒星の残骸である白色矮星のことを、太陽のような星の終末期の副産物くらいにしか考えられない。

米ペンシルベニア州にあるビラノバ大学の天体物理学者エドワード・シオンは、取材に応じた電子メールで「白色矮星は、地球のような岩石と金属でできた惑星ほどの大きさの体積に、太陽ほぼ丸々1個分の質量が押し込まれている」と説明する。「白色矮星の典型的な密度は、1立方センチメートルあたり1000万グラム(10トン)におよぶ。鉄とニッケルでできた地球の核の密度は、1立方センチメートルあたり約10グラム程度だ」

それでも、白色矮星は観測で発見するのが極めて困難で、この暗い天体の周囲の極めて短い軌道を公転する地球に似た惑星を探すことが可能になったのも、ほんのここ十年ほどのことだ。

また、白色矮星は天の川銀河(銀河系)の歴史を理解する上でも重要になる。

「白色矮星は、銀河系にある約2000億個の恒星の98%がたどる進化の最終段階だ」とシオンは最近出版した著作『Accreting White Dwarfs: From exoplanetary probes to classical novae and Type 1a supernovae(白色矮星の降着:太陽系外惑星系の調査から古典新星、la型超新星まで)』に記している。「白色矮星を調べることで、太陽が将来どうなるのかや、銀河系の星形成史について知ることができる」

白色矮星を公転している惑星系は、これまでにいくつ見つかっているだろうか。

シオンによると、2つの惑星系が確認されている。1つは「WD1856+534」で、この白色矮星の周りを公転周期わずか1.4日で周回する木星に似た惑星がある。もう1つは「WD1054-226」で、惑星と白色矮星とのおおよその距離は250万kmと、地球太陽間の距離(1天文単位=約1億5000万km)の約1.7%ほどという。この領域は、全期間で20億年以上、この先は少なくとも10億年にわたって生命生存が可能な状態だと、シオンは指摘している。

また、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中赤外線観測装置(MIRI)を用いた研究チームが最近、白色矮星を公転する2つの巨大惑星候補を直接撮像で発見したと報告している。2つの惑星候補は、金属(ヘリウムより重い元素)が豊富な白色矮星の「WD 1202-232」と「WD 2105-82」をそれぞれ公転している。これらが確認されれば、太陽系内の巨大惑星に年齢と距離間隔の両方が似ている、直接撮像された初の惑星となると、論文の執筆者らは記している。

この研究結果は今年、学術誌The Astrophysical Journal Lettersで報告された。
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翻訳=河原稔

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