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2024.02.06 08:30

身体の「デジタルツイン」で慢性疾患を管理するシンガポール企業の挑戦

安井克至
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メッシュ・バイオのプラットフォームは、初期段階では健康診断や人間ドックを含む一次予防をターゲットとしているが、ウーによると、同社のデジタルツイン技術はその後、病気の合併症を軽減する「二次予防」にも適用可能になるという。例えば、2型糖尿病患者のリアルタイムデータをHealthVector Diabetesで評価することにより、医療従事者はその患者が3年以内に慢性腎臓病を発症する危険性があるかどうかを判断することが可能だ。

慢性疾患を対象とするスタートアップ

しかし、一部の医療提供者は患者の機密データを扱う新たなシステムの導入に消極的だ。そんな中、メッシュ・バイオは、予測分析を活用したDXに対する医療従事者の信頼を勝ち取り、収集したデータの質を保証するために、電子カルテと直接統合できるソフトウェアツールを提供している。

昨年10月に医療ジャーナルのLancetに掲載された学術的レビューによると、慢性呼吸器疾患や心臓病を含む非感染性疾患は、2021年の東南アジアにおける全死亡例のほぼ3分の2を占めていた。WHO(世界保健機関)は、2023年の東南アジアにおける非伝染性疾患対策のロードマップの中で、高血圧や糖尿病の管理、子宮頸がん検診などの予防対策を拡大する必要があると指摘した。

アジアでは他にも、慢性疾患を対象としたスタートアップが台頭している。昨年フォーブスの「Asia 100 to Watch(アジアで注目すべき100社)」に選ばれた中国のChromX health(クローム・エックス・ヘルス)は、呼気から肺がんなどのさまざまな慢性疾患をスクリーニングし、診断することが可能なベッドサイドに置けるデバスイスを開発した。香港を拠点とするGense Technologies(ジェンス・テクノロジーズ)は、重要な臓器に影響を及ぼす慢性疾患をモニターできる医療用画像診断デバイスと付属アプリを開発した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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