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2024.02.09 11:30

猫は「276通り」の顔をする、ヒトは意外に無表情

石井節子

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クールで飄々としたイメージを持たれやすい猫。

しかし、研究者たちは猫の何百もの表情を記録し、猫はこれまで考えられていたほど「クールではない」ことを発見した。

猫は何百もの表情でコミュニケーションをとれることが、新しい研究で明らかになったのだ。 研究者たちは、ロサンゼルスの猫カフェに住む50匹の猫を対象に、1年間かけて合計276種類の表情を記録した。この研究は10月18日に学術誌『Behavioural Processes』に発表された。

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この研究は、ゴロゴロ、ニャーニャーというようなわかりやすい鳴き声の域を越えて、ネコ科動物のコミュニケーション方法を深く掘り下げた最初の研究のひとつである。今までの発表によれば、これまでイヌ、チンパンジー、ヒトの表情はよく研究されており、ヒトには44種類、イヌには27種類、チンパンジーにはなんと357種類もの表情があることが明らかになっている。

しかし、猫の表情に関する研究は少なかった。

「猫に関する文献は非常にバラバラ。加えて、今までの研究は、1万年にわたる、猫をペット化する過程においての猫と人間の関係に注目しているものばかりなのです」研究の共著者であるブリタニー・フローキウィッツ氏(アーカンソー州リヨン大学の心理学助教授)は、Live Science誌でこのように語っている。「我々は猫カフェで、猫同士の自発的な交流、そして表情を記録することができました」

研究によれば、それぞれの表情は、唇を動かしたり、瞳孔の散大や収縮、まばたきや、口角を丸める動作、鼻舐め、耳を動かすなど、26種類のユニークな顔の動きのうち、およそ4種類を組み合わせたものだという。

猫たちがじゃれあう中で、研究者たちは、一組の子猫たちが遊んでいたのに急にケンカになってしまったことに気が付いた。一匹は、逃げる前に突然しゃがみこみ、兄弟ネコにシャーっと威嚇した。

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「彼らが喧嘩ごっこをしているのを見て驚きましたし、次第に事態がエスカレートして本当の攻撃的なケンカになったことにも驚きました」とフロキエヴィッチは言う。「この過程では、彼らの表情の変化を見ることができます。最初は、片方の猫の目はケンカになる前よりリラックスした状態で、耳とひげが前に出ていました。しかし、次第に事態が悪化し、そのネコは耳とひげを後方に動かした―そう、表情をすぐに変えたのです」。

録画したものを見直した結果、攻撃的な表情(37%)よりも友好的な表情(45%)の方が多かった。また、残りの18%は曖昧であったり、両方のカテゴリーに入るものであったという。

また、研究者たちによれば、「共通の遊び顔」と呼ばれる、口角を引き、顎を落として笑うような表情を含む多くの顔が、人、犬、猿を含む多くの種で似ているという。

猫たちが、まさにお互いに何を「言っている」のかを正確に知るためには、まだまだ多くの研究が必要である。しかし研究者たちは、まずは、この研究が、飄々としているとよく言われるネコたちが見せる無数の表情にスポットライトを当てるきっかけとなれば、と期待している。

「我々は、アニマルシェルターや動物愛護協会が私たちの研究を利用し、保護されている猫たちのことをもっと理解できるようになればいい、と願っています」。フローキエヴィッチは言い、さらには最後にこう付け加えた。

「実は我々は、飼い主が猫の表情を記録(そして解読)することができるアプリをデザインしたいという企業からも、連絡をもらっているんですよ」



※本稿は「Livescience」からの翻訳転載である。

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