スポーツ

2024.01.29 11:15

負け姿を見せられる社長こそ格好いい。元K1王者は格闘技で社会を変える

大柏 真佑実

2023年12月8日、各界のエグゼクティブ達が拳を交える異色の格闘技大会、「EXECTIVE FIGHT-BUSHIDO」が開催された。プロデュースを手掛けるのは、K-1 WORLD MAX日本代表トーナメントで最多の優勝経験を持つ格闘家、小比類巻貴之。

自らもエキシビジョンマッチでリングに上がり、会場を盛り上げた小比類巻に、白熱の大会の様子や格闘技を通じて実現したいことを、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が前回に続きインタビューした。

第10回を迎え、5階級でチャンピオンが誕生

──まずは終えたばかりの第10回大会について、感想を聞かせてください。

一般的な格闘技大会と違い「EXECTIVE FIGHT-BUSHIDO」はその名の通りエグゼクティブ向けなので、参加選手が限られます。その中で階級ごとにランキングを作り、タイトルマッチを行うことは難しいと思っていました。しかし、10回目の大会で5つのタイトルマッチを開催し、チャンピオンを決められたことは私にとって大きな出来事でした。

──タイトルマッチはもちろん、全ての試合で垣間見えた出場者のファイターとしての姿勢は、とても経営者とは思えない「本物」でした。皆さんの重ねてきた努力が伝わってきました。

おっしゃる通りで、皆さんのスケジュールを見ていると、商談や会議の合間にトレーニングをしたり、会食がなくなったからジムに来たり。少しの空き時間でもトレーニングに励んでいる選手が多くいます。これまでの大会では練習中の怪我や、それをきっかけにリングに上がるのが怖くなったということで、欠場者が出ることもありましたが、今回は全員が出場しました。第10回という節目の大会だったことと、タイトルマッチがあることは背中を押す材料になったと思いますが、もちろんその裏には家族の支えもあったでしょう。

メンタルの重要性、それはリング上も経営も同じ

──今大会で試合をしたエグゼクティブたちが戦う意義や、そのための準備にかけたストイックさは表現されていましたか。

80kg級のタイトルマッチをした玉本潤一さん(LIFE SHIFT JAPAN 代表)は、選手層の薄い階級で、対戦相手の齋田真司さん(キーレイズ 代表)の要望を受け、私がお願いして出場してもらいました。

すごく気合を入れてトレーニングしていたのですが、試合の10日前にキックをしていたとき、足の親指を脱臼してしまいました。痛みがありますし、本当なら歩くこともやっとなので、欠場してもおかしくはなかった。そこを「チャンピオンになることは痛みに耐えること、困難に負けず前に進むことだ」と言って、テーピングを巻いてトレーニングを続けました。
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文=尾田健太郎 写真=小田駿一 インタビュー=Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香 編集=大柏真佑実

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