2024.02.10 10:30

ロンドン出張なら迷わず選びたい「ザ・ドーチェスター」&「45パークレーン」

鈴木 奈央

「プロムナード」から「アーティスト・バー」に続く、最も美しい空間。

「ドーチェスター・コレクション」は世界8都市に10の最上級ホテルを展開するグループ。2028年には東京にもニューオープンする。グループの旗艦となるロンドンの「ザ・ドーチェスター」と「45パークレーン」。2軒の魅力を探る。

新生「ザ・ドーチェスター」の味わいきれない魅力

ロンドンを代表するクラシックホテルの一つが「ザ・ドーチェスター」である。ロンドンの中心地・メイフェアにあり、ハイドパークのすぐ横という絶好のロケーションを擁する。ブランド店が軒をつらねるニューボンド・ストリートなどにも至近の距離だ。

この名門ホテルに新しく加わるべきホットなニュースは、2023年の前半にかけて1階部分とスイートをはじめとする客室を大改装したことだ(2階以上は改装工事を継続中)。

以前には重厚ながらやや暗い印象を否めなかったホテルは、このリノベーションによって一新したと言える。手がけたのは再生請負人として、名門ホテルを幾つも蘇らせてきた手練れのインテリア・デザイナー、ピエール・イブ・ロションである。

The Dorchester|客室数 240室。スーペリアルーム 1100ユーロ~。

今回の大改装の特徴の一つは暖色だ。エントランスからまっすぐ奥まで伸びるレストラン「プロムナード」は、明るくとても心地よい。その明色は節度を保ち、優雅さをたたえている。

隣接する「アーティスト・バー」には英国人アーティストによる6つの作品が飾られ、優美な雰囲気を醸し出す。それぞれの作品にちなんだシグネチャー・カクテルも用意されている。このエントランスから「プロムナード」を経て「アーティスト・バー」まで伸びる空間は、このホテルの印象を決定づける役割を果たしている。誰もが魅了されることは間違いない。

暖色系のレモン・イエローに改装されたスイートルーム(201号室)。

客室の改装の特徴は、明るい色彩である。イングリッシュ・ガーデンから着想を得たというその色は、レモンイエロー、ヘザーブルー、リーフグリーン、ローズフォグピンクなどだ。ゲストルームに居住するだけで気分が華やいでくる。

ハード面が秀逸であることのほかに、このホテルの内容面は書ききれないほど充実している。

まず、レストランには、もはや説明するまでもない「アラン・デュカス」、広東料理の「チャイナ・タン」、ステーキハウスとして「グリル・バイ・トム・ブートン」が布陣を固める。『007』の作者イアン・フレミングに深くちなんだ「ヴェスパ・バー」では、スペシャルなマティーニを試したい。「プロムナード」では朝昼食とアフタヌーンティー、「アーティスト・バー」でもアフタヌーンティーが味わえる。

「ヴェスパー・バー」の個室。官能的な小部屋だ。

そして2023年4月に加わったのがいま世界最高との呼び名も高い「ishga(イシュガ)」によるスパトリートメントである。「ishga」はオーガニック・スキンケアブランドで、スコットランド産の海藻が持つ特性に着目したものだ。そのトリートメントは、肌に栄養素を届け、活性化し、修復を図る方法として理想的とされている。たしかにトリートメント後は、肌に生気を吹き込まれたようになる。セラピストの腕前も卓抜なものがあった。その施術は「ザ・ドーチェスター・スパ」で受けられる。

ちなみに、筆者はロンドンの格式高い数々のホテルを知っているが、どこも気高く、気圧されることが多い。その中で「ザ・ドーチェスター」ほどの歴史がありながら、親切でにこやかなホテルはないと言い切れる。とりわけレストランやバーの接客方面にイタリア人が多く、彼らが盛り立てる居心地の良さは格別だ。これはイギリスにいる限り、なかなか稀有なことと言えるだろう。
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文=石橋俊澄(コントリビューティング・エディター)

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