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2024.01.09

フォルクスワーゲン、「ChatGPT」を車載音声アシスタントに統合

ゴルフGTIの刷新されたコクピット。ChatGPTが統合された新しいインフォテインメントシステムを搭載する(Volkswagen)

「ChatGPTの時代」に突入して1年あまりが経った今、OpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)の影響は急速な拡散を続けている。2022年11月にOpenAIが、GPT LLMの簡略化されたチャットインターフェースであるChatGPTを公開して以来、テクノロジーに多少なりとも関係するあらゆる企業は、躍起になって独自の生成AIシステムの開発に取り組んだり、あるいはOpenAIのChatGPTを自社の製品に統合しようしているように見える。

その最新の動きが、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンから発表された。同社は米ラスベガスで1月9日より開催される世界最大のデジタル関連技術展示会「CES 2024」で、同社のデジタル音声アシスタント「IDA」にChatGPTを統合した機能拡張バージョンを公開する。

長年フォルクスワーゲン車は運転するとすばらしいという高い評価を得てきたが、この数年間に市場に出た同社のクルマで音声認識を使用しようとすると、イライラさせられることが多かった。どれでもいいからフォルクスワーゲンの最新モデルに乗り込み、ナビゲーションシステムの音声認識機能に行き先の住所を告げて検索してみるといい。成功する確率は、他の多くのクルマと比べてずっと低いはずだ。

フォルクスワーゲンの音声認識システムは、米マサチューセッツ州に本拠を置くCerence(セレンス)から供給されている。セレンスはNuance Communications(ニュアンス・コミュニケーションズ)の自動車部門だったが、2019年に別会社として独立した。ニュアンス社は音声認識技術の先駆的企業であり、20年以上にわたりほとんどの自動車会社に音声認識システムを提供してきた。フォルクスワーゲンの「ゴルフ8」をはじめ、同社の最新モデルの多くに搭載されているインフォテインメントシステムの音声アシスタント「IDA」もニュアンスが開発したものだ。

ChatGPTを統合した新しいIDA音声アシスタントを搭載するゴルフGTIの50周年記念モデルも展示 (Volkswagen)

ゴルフGTIの50周年記念モデルも先行展示。ChatGPTを統合した新しいIDA音声アシスタントを搭載(Volkswagen)

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翻訳=日下部博一

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