ライフスタイル

2024.01.05 07:30

2024年の色は「ピーチ・ファズ」。必要なのは絆と解放そして、「手触り」

石井節子

PANTONE社の公式ウェブサイトより

デザイン、印刷ほか、さまざまな製品の製造プロセス上、色指定をする際には「色見本帳」が不可欠だ。そのひとつとして世界で使用されているのが「PANTONE」である。

日本では「DIC(印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドで世界トップシェアの化学メーカー)」が作成した見本帳が使用されることが多いが、海外生産の多いメーカーなどでは、標準仕様としてPANTONEの色見本を使うことも多い。

たとえばAmazonのロゴ。オレンジとブラックのツートーンは、実際には、オレンジ=「PANTONE1375C・PANTONE137U」ブラック=「PANTONE432C」と指定されている(「新晃社」HPより)。

米国に本社を置くそのPANTONE(パントン)社は毎年、トレンドカラーを発表するプログラム「カラー・オブ・ザ・イヤー(Color of the Year)」を実施している。その2024年版、今年のカラーに「ピーチ ファズ(PANTONE 13-1023 Peach Fuzz)」、オレンジ味のある温かみのある桃色が選ばれた。



パントン社のHPから、「ピーチ・ファズを選んだ理由」を以下、翻訳で引用する。


「日常の喧騒の中でも憩う」ということ


現在、われわれの生活のさまざまな側面に激震がみられる。より平和な未来を模索したくなるそんな時代、育くみ、共感、思いやりがますます必要になっている。

健康、スタミナ、そして強さ。これらがあってこそ人生を生き切り、楽しむことができることを、われわれは再認識している。

生産性や外面的な成果が重要視されがちなこの世の中では、内面の自分自身を育むことの重要性を忘れず、日常の喧騒の中でも憩いや創造する気持ち、そして人との絆を見出すことがとりわけ大事だ。

現在をナビゲートし、新たな世界へと向かって生きていく途上で、われわれは「何が重要なのか」を再評価しつつあるのだ。

どのように生きたいかを再定義し、より意図的に、よく考えて自分自身を表現する。自分の価値観と一致するように優先順位を調整し直し、心身両面の健康とウェルビーイングにフォーカスし、特別なこと、すなわち友人や家族と過ごす温かさや心地よさ、あるいはひとりで過ごす時間を大切にする。そういったことが見直されている。

今年の色はよりシンプルで現代的、かつ─


そういった思いからわれわれパントンは、コミュニティや他の人たちとの絆の重要性にフォーカスできる色に注目すべきと考えた。だから「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー2024」に選ぶ色は、愛する人たちの近くにいたいという願いと、本来の自分にチューニングし直すための、静かなひとりな時間を味わうことを自らにゆるすことで得られる喜びの両方が表現されている必要があった。 

そのために今年の色は、温かくやさしく人々を抱擁すると同時に、思いやりと共感のメッセージを伝える色でなければならなかった。人を育み、くつろぎの感覚をもたらすような色でなければならなかった。

その感性で人を集め、手触りの良さを感じさせる色。よりシンプルな日々への思いを反映させながら、より現代的な雰囲気に言い換えたような色。その優しく軽やかな存在感が、私たちを未来へといざなうような色。

そして、日常をよりシンプルにとらえられる感覚を表わすと同時に、現代的な雰囲気を新しくわれわれに伝えるような色。

そのやさしい軽さとエアリーの存在感が、われわれの気持ちを持ち上げて未来に運んでくれるような色。そんな色を選ぶ必要があったのだ。

参考:Pantone社”Color of the Year 2024” HP

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