欧州

2023.12.11 11:30

ロシア、今冬もウクライナの送電網攻撃 手段はミサイルからドローンに

遠藤宗生
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だがロシア軍は、単純に数で圧倒することを計画しているのかもしれない。十分な数のシャヘドを生産し、うち15%がウクライナ軍の防空網をくぐり抜けることで、最終的には送電網を停止させるのに十分なダメージを与えるだろう。現在のロシアのシャヘド生産能力は不明だ。ウクライナ軍が発表した統計によると、2023年を通して毎月100機ほど撃墜されていたシャヘドが、9月には400機超に増加している。

Xユーザー「Arms Show Tracker」は、ウクライナ当局が公表したシャヘド攻撃の概要を要約し、次のように記している。 「12月の第1週、ウクライナ空軍は122機のシャヘドを撃墜した。それに比べ、昨年12月にウクライナ空軍が撃墜したシャヘドはわずか91機だった」

防空網をくぐり抜けているシャヘドはごく一部かもしれないが、すでに影響を及ぼしている。ウクライナのエネルギー省は今月3日、12地域の500以上の集落で悪天候による停電が発生し、さらに400以上の集落でロシア軍の攻撃と設備への妨害による停電が発生したと発表した。

ウクライナは、ドイツから供与されたゲパルトなどの自走対空砲、サーチライトを備えた機関銃部隊、地対空ミサイル、さらには迎撃用ドローンなど、広範な対ドローン防衛を有している。装備や経験、戦術の向上はドローン撃墜率を押し上げるのに役立ち、防空網を通過するシャヘドの数は一層少なくなる。長く、消耗する作戦になることは確実で、ウクライナは停電を防ぐためにあらゆる支援を求めるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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