経済

2023.12.11

生活費の高い都市ランキング インフレと通貨高で欧州が突出

シンガポールと並び、世界で最も物価の高い都市に選ばれたスイス・チューリヒ(Getty Images)

生活費が最も高い世界の都市はどこだろうか? 英誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が行った世界の生活費調査では、シンガポールとスイスのチューリヒが1位タイとなった。

EIUがまとめた「世界で最も生活費が高い都市ランキング」で、シンガポールは11年間で9度目の首位を獲得。一方のチューリヒは、昨年の第6位から順位を上げた。

この調査は8月14日~9月11日にかけて世界173都市を対象に行われ、200以上の商品やサービスについて400以上の価格を比較した。シンガポールは、食料品、アルコール類、衣料品、自家用車の所有にかかる費用が高かった。チューリヒの上昇に拍車を掛けたのは、家庭用品と娯楽活動の値上がりだった。

今回の調査では、物価上昇に直面する都市の傾向が浮き彫りとなり、200以上の商品やサービスの価格が前年比で7.4%上昇したことが明らかになった。この上昇幅は前年より縮小したものの、2017~2021年までの傾向と比較するとかなり大きい。

昨年シンガポールと首位を分け合ったニューヨークは、スイスのジュネーブと並んで第3位となった。米国の都市ではニューヨークに加え、ロサンゼルスとサンフランシスコが10位以内に入った。アジアは世界の他の地域に比べてインフレ率が低いにもかかわらず、1位のシンガポールのほか、香港も第5位となった。

特筆すべきは、食料品や衣料品のインフレと通貨高が相まって、西欧が突出していることだ。欧州からは、チューリヒ(1位)、ジュネーブ(3位)、パリ(7位)、コペンハーゲン(8位)と、上位10位以内に4都市が入った。イスラエルのテルアビブはコペンハーゲンと並んで8位につけたが、この調査はイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘前に実施されたものだ。

EIUは来年のインフレ率は減速すると予想しているが、イスラエルとハマスの紛争によるエネルギー価格の上昇の可能性や、予期せぬエルニーニョ現象が食品価格に与える影響について警告している。

EIUはさらに、生活費の安い都市のランキングも作成。シリアのダマスカスが1位となった。

世界で最も生活費の高い都市と安い都市のランキングは以下の通り。

世界で最も生活費の高い都市トップ10

1位 シンガポール(シンガポール)

1位 チューリヒ(スイス)

3位 ニューヨーク(米国)

3位 ジュネーブ(スイス)

5位 香港(中国)

6位 ロサンゼルス(米国)

7位 パリ(フランス)

8位 コペンハーゲン(デンマーク)

8位 テルアビブ(イスラエル)

10位 サンフランシスコ(米国)

世界で最も生活費の安い都市トップ10

1位 ダマスカス(シリア)

2位 テヘラン(イラン)

3位 トリポリ(リビア)

4位 カラチ(パキスタン)

5位 タシケント(ウズベキスタン)

6位 チュニス(チュニジア)

7位 ルサカ(ザンビア)

8位 アーメダバード(インド)

9位 ラゴス(ナイジェリア)

10位 チェンナイ(インド)

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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