AI

2023.12.05 15:30

「次世代のゲーム、どう面白くなる?」 AI、メタバース、空間コンピュータがゲームに起こす革命

岸本:「先日、IBMでAI活用を体験・推進するための社内イベントが全世界で開催されました。私のチームでは、自分の体験価値を広げるためにメタバースでプレイヤーに寄り添うフェアリー(妖精)のような存在のプロトタイプを作りました。性格や嗜好分析により100人いたら100人違うフェアリーが生まれてきてゲームプレイヤーに寄り添ってくれるようになるのではないか、と妄想しています。」

三宅:「自分の情報を学習したAIを人は手放さないと思うんですよ。常にお金を払い続ける対象となる。ここを軸にビジネスを考えるもありかもしれませんね。オンラインゲームも10年やっているとアカウントが自分自身と思えるので手放せない。今後、幼少期から一緒に育てるエージェントの存在とかも出てくるかもしれず、そうすると一生手放せないでしょう、究極的にはエージェントが一生の相棒にもなるかもしれない。」
 
岸本:「自分の情報を預けられるセキュアーな環境というものもプラットフォーマーには求められます。先ほどお話をした中立空間は、まずゲーム業界から生まれると思っています。バーチャルワールドで便利な世界を実現して、それをリアルに実現させていくような流れにする。しかも、それは、特に日本のゲーム産業が始めていくのではないかと信じています。」
 
この投げかけに対し三宅氏は、日本人の物理とサイバー空間を曖昧に受け取る能力が今後の中立空間を作る時には長けているかもしれないと語る。初音ミクも日本ではなければ生まれてこなかった存在である。また、GAFAMに代表されるIT企業はドライなサービスを作るが、ゲーム会社はウェットな体験を作るのが得意であり、中立領域においてはプラットフォーマーはドライでいつつ、その上でウェットなコンテンツが必要になるのでは、と語る。それではゲーム会社が中立空間の主戦場をとりに行くのもありなのではないか?という岸本氏の投げかけに対して三宅氏は以下のように答える。
 
三宅:「ゲームの世界は実社会にダイレクトに繋がれないんですよね。なぜならば実社会的なものをゲームに持ち込むことはゲームの世界観を壊してしまう。実名でオンラインゲームには入らない。やる方もやられる側も困るので不文律として個人情報は含まないようにする傾向が強い。一方、社会と繋がることが前提とするデジタルツイン型メタバースの場合には、現実の情報や個人の情報を反映することが、その世界の価値となる。セカンドライフなどのメタバースと今あるゲームのちょうど間を作るセンスが求められる。この中立空間を制するプレイヤーはまだいないので、これから主戦場となる領域です。
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文=西村真里子

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