経済・社会

2023.11.29 11:00

事故も急増、電動キックボードには自賠責保険が必須

稲垣 伸寿
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電動キックボードには自賠責保険が必須

チェック項目の最後で取り上げている「自賠責保険」は、交通事故による被害者救済のための強制保険で、原動機付自転車(原付)を含む“すべて”の自動車に加入が義務付けられている。

電動キックボードもクルマの範ちゅうに属するため、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)または自賠責共済(自動車損害賠償責任共済)への加入は必須だ。

シェアリングサービスの電動機付自転車については事業者側で加入しているが、自身で電動キックボードを購入する場合は、忘れずに自賠責保険(共済)に加入しておきたい。

なお、2024年(令和6年)3月末までは、電動キックボードには原動機付自転車の自賠責保険料が適用されるが、2024年4月からは専用の新保険料が設定される見込みだ。その新保険料が現在契約中の原動機付自転車の保険料より安くなるときは、保険契約者が申請をすれば、一部のケースを除き、相応の差額が返還される予定だ。

ちなみに、無保険車による事故、ひき逃げ事故の被害者に対しては、「自賠責保険」に代わって「政府保障事業」による救済が受けられる。

とはいえ、「自賠責保険」や「政府保障事業」は、あくまで対人賠償責任のみをカバーするため、もしもの事故時のことを考えると補償内容が少なく心もとない。



自賠責保険の補償内容は図表3の通りだが、それだけでは不足する対人賠償責任補償や、対物賠償責任補償、利用者の死亡・後遺障害・傷害補償については、シェアリングサービスの電動キックボードでは事業者は強制保険の「自賠責保険」に加えて任意保険の「自動車保険」にも契約しているので安心だ。

だが、気を付けたいのは、シェアリングサービスのものではない電動キックボードの事故時の補償だ。自分で購入した場合は、忘れずに、強制保険の「自賠責保険」に加入しておきたい。任意保険の「自動車保険」にも契約したうえで乗るのが理想だ。

怖いことに、事故の事例を見ると、加害者側の電動キックボードは自動車保険だけでなく自賠責保険すらも契約していないケースもあった。事故に巻き込まれないよう、自分の近くを走る電動キックボードには十分注意を向けることが、これからの日常において特に重要と言えそうだ。

連載:ニュースから見る“保険”の風
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文=竹下さくら

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